[I-YB01-1] 純型肺動脈閉鎖における冠動脈右室瘻の分類
キーワード:冠動脈右室瘻, 純型肺動脈閉鎖, 予後
【背景】PA-IVSにおける冠動脈右室瘻RV to coronary fistula(CAF)は予後不良因子として知られる。段階的decompressionによりCAFが消退する症例を経験する一方、CAFが原因で心不全や突然死を起こす症例もおり、早期に予後を予測することは有用である。【目的】CAFの好発部位や予後不良因子を明らかにしたい。【対象と方法】当院にてPA/IVSと診断された103例のうち、RV造影にて逆行性に冠動脈が造影された症例をCAFありと定義した。現在画像を確認可能な41症例を対象とし、各症例のCAFを(1)CAFと右室との交通形態、(2)CAFと右室との交通部に狭窄があるか巨大な交通か、(3)右室減圧術を受けた場合CAFが減少したか、(4)減圧術を受けられない理由と予後 について分類した。【結果】(1)交通部位はRCA-RV単独7例、LCA-RV単独6例、RCA-RVかつLCA-RV両方23例、単一冠動脈または一側途絶5例であった。(2)右室との交通部に狭窄がある症例は34例(83%)で、1例のみ死亡していた。右室との交通に狭窄が無く巨大な交通を有する症例は7例(17%)で、2例にfistula ligationが施行されいずれも生存、残る5例は死亡していた。(3)30例が右室減圧術を受け、減圧に成功した28例は全例生存し、うち27例はRVGにて冠動脈が描出されなくなった。減圧術を行ったがRV-PA間が再度閉鎖した2例のうち1例は突然死した。(4)右室減圧が受けられない理由は、右室流出路が欠損した8例(うち4例死亡50%)と、流出路はあるがPAとの接点が小さすぎるため減圧術が難しいと判断された3例(3例とも生存)であるが、後者は減圧の機会を伺っている。【結語】CAFはRVとの交通が巨大な症例は予後不良であり、形態が許せばligationを考慮すべきである。右室流出路欠損症例、減圧に成功しなかった症例が予後不良であった。CAF-RV交通部に狭窄がある症例は生存率が高く、右室減圧術によりCAFが減少する症例を多く経験した。