[P09-2] 胎児診断された先天性心疾患症例はどこで分娩するのが適切か?
キーワード:胎児診断, 分娩施設, 母体搬送
【背景】CHD胎児診断のメリットの1つは、出生後の治療を予測し緊急新生児搬送を回避する事である。当地域の胎児CHD症例の多くは当院に紹介され、原則的に新生児期に手術を要する症例は当院で、要さない症例は他院(紹介元施設)での分娩の方針だが、当院出生後に手術せず退院する症例も少なからず存在する。また当院NICU・産科が満床で手術症例でも当院で分娩できないケースも散見される。【目的】胎児CHD症例で新生児期に手術しなかった症例をレビューし適切な分娩施設の選択方法を検討する。【対象と方法】2017年1月~2019年12月の当院CHD胎児診断症例で、CHDを理由に当院で分娩したが手術せず退院した19例(治療差し控え例、18トリソミー、重症心外合併症を除外)の経過を検討した。【結果】母年齢は平均31.2(21-40)歳、初回胎児心エコー週数は31.5(26.9-38.0)週、出生週数は38.0(31.1-41.6)週、出生体重は2764(1634-3570)g。胎児診断はCoA疑い4例、血管輪/重複大動脈弓3例、Ebstein病3例、TOF2例、VSD+PA+MAPCA、卵円孔早期閉鎖、ECD、心臓腫瘍、右室心筋症、多脾症、肺動脈弁狭窄、各1例で入院期間は中央値14(6-134)日。紹介元は市外産科が12/19例、うち道外施設が2/19例、開業産科が12/19例。手術の可能性は低いが、遠方であったり小児循環器医が常勤していないため紹介元に戻せなかった症例は10/19例。【考察】対象症例は胎児診断正診率の低い疾患、疾患の重症度により手術適応が変わる疾患など、出生前は手術適応を迷うが、出生後は小児循環器医がいれば対応可能な症例が多かった。2019年に当院から1kmの施設に胎児心エコー認証医・小児循環器医が常勤となったため、短距離の新生児搬送のリスクを踏まえた上で症例を選んで同施設に母体紹介する体制を構築中である。【結語】新生児手術可能な施設に軽症例が集中しないよう、近隣の小児循環器医常勤施設と十分な連携を取る必要がある。