第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

画像診断

デジタルオーラル(II)16(P16)
画像診断3

指定討論者:瀧聞 浄宏(長野県立こども病院 循環器小児科)

[P16-4] 動的MRリンパ管造影所見に基づく乳糜心嚢液の治療計画

佐藤 慶介1, 陳 又豪1, 真田 和哉1, 石垣 瑞彦1, 芳本 潤1, 金 成海1, 満下 紀恵1, 新居 正基1, 田中 靖彦1, 山本 真由2 (1.静岡県立こども病院 循環器科, 2.帝京大学医学部 放射線科学講座)

キーワード:chylopericardium, dynamic contrast-enhanced magnetic resonance lymphangiography, groin lymph node puncture

【背景】乳糜漏出性疾患の治療において,従来の脂肪制限食などの保存療法だけでなく,胸管塞栓術などの積極的治療法が選択肢に挙がるようになった。積極的治療法を選択するにあたり,漏出部位の同定が重要であり,近年動的MRリンパ管造影(DCMRL)の有用性が注目されている。【症例】7歳8か月男児,反復性細菌性髄膜炎の経過中に心嚢液の貯留が指摘された。増悪に際し心嚢ドレナージを行ったところ,乳糜心嚢液と判明した。保存的治療を行ったものの反応が乏しく,積極的治療法を計画すべくリンパ管シンチグラフィを施行した。しかし,漏出部位の同定がはっきりせず,DCMRLを計画した。全身麻酔を導入し,エコーガイド下に鼠径リンパ節穿刺を行ったうえで撮影を開始した。機種はPHILIPS社Ingenia 1.5Tを使用し,2倍希釈のガドブトロールを穿刺部位より緩徐に注入し20秒ごとにeTHRIVEで撮影を行った。結果として静脈角左下方からの漏出が判明した。DCMRL所見に基づき,油性ヨード造影剤(リピオドール)による漏出部位の塞栓を行った。塞栓後,乳糜は減少傾向となった。【まとめ】DCMRLは鼠径部のリンパ節穿刺を要するものの,リンパ管シンチグラフィと比べ空間分解能が良好であった。また,被爆がないこと,右左短絡を有する症例において利用可能であることなども,メリットとしてあげられる。今後,本手法により胸管塞栓術などの積極的治療の計画をより具体的に構築できる可能性があるものと考えた。