[P18-4] Contrast echocardiographyを用いて動静脈血のmixingを定性的に評価する-複合型先天性心疾患に対する肺動脈絞扼術を適切に行えるか-
キーワード:contrast echocardiography , Pulmonary Artery Banding), mixing
【背景】複合型先天性心疾患(CCHD: complex types of congenital heart disease)では、酸素飽和度(SpO2)は動脈血と静脈血のmixingの程度や肺血流量に依存する。完全大血管転位症では心房間mixingが酸素化維持に重要であるが、CCHDではmixingの評価が難解である場合がある。肺動脈絞扼術(PAB:Pulmonary Artery Banding)は、高肺血流に対して肺血流の制御を目的として実施する一方、肺血流減少により低酸素血症をきたす場合がある。【目的】CCHDに対してcontrast echocardiography (CE)を実施することで、動静脈血のmixingを定性的に評価し、PABを適切に行えるかについて検討する。【対象と方法】2017年4月-2020年1月までに、高肺血流の制御を目的としてPABを行ったCCHDのうち、mixingの懸念からPAB術前後にCEを実施した3症例について後方視的に検討した。末梢点滴からのmicro bubble(静脈血を反映)と左心房からのnegative jet(動脈血を反映)を経胸壁心エコーで描出し、大動脈と肺動脈への分布を定性的に評価する。【結果】基礎心疾患は、症例1、3が左室性単心室、両側房室弁左室挿入、症例3が房室交差。症例1、2ではPAB後に肺血流低下のため低酸素血症をきたした。CEでは症例1、2ではmicro bubbleが大動脈へ、negative jetが肺動脈へ流れていることから心房間でのmixingが必要であると判断しBAS後に再度PABを行った。症例3ではmicro bubbleが大動脈と肺動脈へ均等に流れておりPAB前のBAS不要と判断、PAB可能であった。その後に徐々にSpO2下がりBAS施行したがSpO2上昇はなかった。初回PABの日齢は症例1/2/3で15/18/8(日)、PAB流速2.5/1.9/3.5(m/s)、BAS日齢は15/27/43(日)、re PAB日齢は42/31/-(日)、BAS前後のSpO2 73→86/73→88/76→75(%)、BAS前後の心房間2.2→7.3/2.5→8.8/3.9→6.9mm。【結語】CEはCCHDに対して心房間mixingの定性的な評価を行うことで、PAB前のBASの必要性を低侵襲かつ簡便に判断できる。