[P29-2] Extracardiac TCPC Fontan術後の徐脈頻脈症候群に対しペースメーカ植え込みが奏功した1例
Keywords:フォンタン手術, ペースメーカ植込み, 徐脈頻脈症候群
背景:TCPC Fontan術後に洞機能不全を伴う場合、接合部頻拍、心房頻拍に対して十分な抗不整脈薬の投与が難しくコントロールに難渋することがある。 症例:両大血管右室起始に対しGlenn術後にTCPC Fontan手術を行われた9歳男児。TCPC Fontan術後より洞機能不全から接合部調律となり自然停止する接合部頻拍を認めていた。Fontan術後3年後(6歳7か月)より自然停止する心房頻拍が出現した。Fontan術後4年(7歳11か月)、心房頻拍が持続するようになりソタロール内服(1.5mg/kg/d)を開始した。しかし、徐脈が著明であり薬物の増量ができず頻拍コントロールに難渋した。心房頻拍は心室レートが154-173bpmで2:1伝導であった。心房頻拍が長時間続くと顔色不良、嘔吐などの症状を伴い電気的除細動が必要となった。洞機能不全に伴う接合部調律と短い接合部頻拍から心房頻拍が誘発されており、徐脈を改善する必要があると判断。心外膜リードを用いて抗頻拍ペーシング機能のあるペースメーカ植込み(Medtronic Azure XT DR)を行った(9歳0か月)。術後2日目にWide QRS頻拍(234bpm)が出現した。顔色不良、血圧低下のため心室頻拍の可能性を考慮し、電気的除細動を行ったが心房期外収縮から直ちに再発した。ペースメーカの心内電位より1:1伝導する心房頻拍と判断し、ペースメーカからの心房連続刺激で頻拍を停止させ、比較的早いペーシング(150ppm)にしたところ頻拍は抑制可能となった。以後ソタロールを増量し、心房頻拍は短時間で自然停止するようになった。血行動態の安定に伴いBNPも低下した。心房頻拍に対する抗頻拍ペーシング治療はソタロール内服(5mg/kg/dまで徐々に増量)による頻拍周期の延長により心房心室伝導が1:1となったため抗頻拍ペーシング治療は実行されていない。結論:TCPC Fontan術後の徐脈頻脈症候群では抗頻拍ペーシング機能のあるペースメーカ植え込みと抗不整脈薬の強化は有効な治療となりうる。