[P33-1] 大動脈弁形成(AVP)後にcentral ECMOを導入し左室 (LV)ベントの併用が有用であった一例
キーワード:LVベント, ECMO, AS
【背景】ECMO管理中に自己拍出がない状況では、左房圧上昇による肺うっ血、左室拡大をきたし左心系ベントが必要となる。AVP後に人工心肺離脱困難となり、LVベント併用のcentral ECMOを導入し安定した管理とECMO離脱が可能になった症例を経験したので報告する。【症例】3ヶ月女児、体重4.5kg。胎児診断なく在胎39週1日2230gで出生し前医でsevere aortic stenosis(AS), MRと診断された。ASは増悪し心拡大も進行したため、生後1ヶ月と2ヶ月時に経皮的大動脈弁形成術 (PTAV)を施行したが、ASおよび左心不全が改善しなかったため外科的介入目的に当院へ搬送となった。術前エコーではsevere AS(EOAI=0.94)、afterload mismatchによるLV拡大(Dd=159%N)、収縮能低下(EF=37%)、MR severeであり、AVPおよびMVPを施行した。弁形成後人工心肺離脱を試みたが血圧が保てず、エコー上LV壁が著明に肥厚しておりLVEDVの確保には高EDPが必要であった。ECMO装着し帰室予定としたが、低LAP、低LVEDPで管理するためLV脱血&RA脱血-Ao送血とした。Full support下で自己心拍はない状況であったが、LVベントから有効な脱血が得られ、肺鬱血、LV拡張をきたすことなく安定した管理が可能であった。POD5に心機能改善し強心剤サポート下でLVベントを抜去したが、左心系の拡大はなくMRは軽度増加に留まった。さらなるLV機能回復を待ちPOD12にECMO流量を下げたが、自己拍出増加に伴いsupraASおよびASの残存狭窄が顕在化、離脱不可能と判断しsupraASおよびASの再解除術を行った。再手術中に気道出血があり再びECMO下帰室となったが、翌々日にはECMOを離脱、初回手術後41日目に神経学的な後遺症なくCCU退室となった。【考察】残存流出路狭窄および左室壁肥厚のため低下したLV機能では自己の拍出が得られなかったが、LV減圧を積極的に行う事で安定した管理が可能となった。二心室ECMOでは循環動態に応じて期を逸せずに左心系を減圧することが必要である。