[P47-5] 純型肺動脈閉鎖における中長期予後の検討
キーワード:純型肺動脈閉鎖, 予後, 肺動脈弁閉鎖不全
純型肺動脈閉鎖(PAIVS: Pulmonary Atresia with Intact Ventricular Septum)は幅広いスペクトラムを有し、その治療法も多岐にわたる。予後は改善傾向であるが、肺動脈閉鎖不全や心房中隔欠損遺残による右左短絡、右心機能不全など長期問題点も多いと考えられる。【目的】PAIVS患者における長期予後と問題点を明らかにする。【対象、方法】当科にて経過観察中のPAIVS患者23名に対して、診療録より後方視的に長期予後の検討を行った。診療録よりデータを抽出し、後方視的研究を行った。以下の項目について検討を行った(診時年齢、性別、治療方法、不整脈の有無、内服薬、各種検査データ(血液検査、胸部X線、心臓超音波)と心房間交通の有無、肺動脈弁閉鎖不全の程度、死亡を含めた心血管イベント)。【結果】平均年齢14.9歳、男女比11:12、二心室修復(BVR)16、単心室修復(UVR)3であった。BVRでは、姑息術後に3例の死亡を認めたが、遠隔期死亡は認めず、全身状態は良好であった。心房間交通残存を67%に認め、多くに右左短絡を有しており、3例では閉鎖術を行った。肺動脈弁閉鎖不全は中等度を多く認めた(67%)が、重度で弁置換術を要した症例はなかった。UVRでは1例の死亡(脳出血)を認めた。全例で内服薬を必要としていた。【考察】PAIVSの予後は全体的には良好であるが、BVRにおける心房間交通は潜在的に右左シャントを有しており、閉鎖術が望ましいが、その適応基準、時期は不明である肺動脈弁閉鎖不全は今後進行することが予想され、弁置換術の必要があるが、その適応についても明確なものはない状態である。【結論】PAIVSの予後は改善傾向にあるものの、心房間交通、肺動脈弁閉鎖不全は長期的な合併症として存在する。その治療適応は不明な点も多く、今後の研究を必要である。