[P49-2] 生後2か月未満での大動脈弁狭窄への外科介入例の中期成績 ~小児循環器医の立場から~
キーワード:大動脈弁狭窄, 新生児, 大動脈弁形成
【背景】新生児期,乳児期早期の大動脈弁狭窄(AS)への治療介入は依然として困難な治療課題のひとつである.経皮的バルーン治療は,一般的に広く行われてきたが,近年の外科手術成績の向上により適応に議論が出始めている.当院でも,2013年頃より新生児期からの積極的な大動脈弁形成術が行われるようになった. 【目的】生後2か月未満でのASへの外科介入症例のその後の経過を明らかにする.【方法】当院で2013年以降に生後2か月未満で,ASに対して外科的治療介入を行い二心室循環が成り立った6例を対象とし,診療録をもとに後方指摘に検討した.【結果】大動脈弁形態は,術中所見で弁輪基部まで十分に交連の開いた二尖弁はなく,全例unicusp(unicuspのecho診断は術前TTE4/6,TEE6/6)であった.ARは5例で認めず,1例はmoderateであった.この症例のみ心機能の低下がみられ,coaptation heightも低かった.修復は交連切開など(1)valvotomy3例,(2)交連形成1例,(1)と(2)1例,心膜による弁尖置換を含む弁作成1例であった.心機能低下の1例のみ術後ECMOが導入された.術後中央値3年(0.3~4.4年)で未再介入例が5例,弁作成の1例は術後8か月で再弁形成,2年で人工弁を用いたKonno術が施行された.未再介入例のecho上のASの流速は2.5m/s(1.7~3.9)で,ARは,4例はmild以下,1例がmoderateで,死亡症例はなかった.【考察】再介入例も少なく比較的良好な中期成績が得られていた.弁作成症例はARも合併したもともとの弁形態が悪い症例であった.こういった症例群でARが許容される症例では,心膜の経時的な劣化の問題もあり,bridgeとしてバルーン治療も選択肢になりうると思われた.今後さらに遠隔期の再介入成績にも注視し,術前エコー診断とも比較して適応の検討をする必要がある.【結語】外科的大動脈弁形成術は,生後2か月未満でも中期成績が比較的良好で治療の有力な選択肢となりうる.