[P49-4] 当院での新生児期の心臓手術における胸水遷延例の検討
キーワード:遷延性胸水, 新生児, 心臓手術
【背景】当院で胎児診断を開始してから新生児期の手術が年々増加している。一部に難治性胸水のため術後管理に難渋する症例が存在する。
【目的】当院で新生児期に心臓手術を受けた患者のうち胸水が遷延した症例について検討した。
【方法】2018年1月~2019年12月で新生児期に心臓手術を行った症例(未熟児動脈管は除く)について診療録を用いて後方視的に検討した。胸水が消失した日は胸腔ドレーンを抜去した日と定義した。
【結果】2018年1月~2019年12月で新生児期に心臓手術を行ったのは、のべ53例(男児28例、姑息術35例、人工心肺16例)だった。胸水が2週間以上遷延したのは7例(Truncus 1人、CoA complex 1人、DORV (false Taussig-Bing奇形)1人、TAPVC+PVO 2人、新生児心筋梗塞1人、HLHS 1人)で、そのうち1か月以上持続したのは2例(新生児心筋梗塞、HLHS)だった。胸水遷延例は生後7日以内の手術では20%(2/10)、生後14日以内の手術では12%(4/32)であり、術式ごとの比較では、PA banding 12%(2/16)、bilateral PA banding 12%(2/16)、TAPVC repair 40%(2/5)、arch repair 33%(2/6)、Norwood+RV-PA shunt 100%(1/1)1人だった。一方でBT shunt造設術やTGAの大血管スイッチ術では胸水遷延例はいなかった。
【考察】本検討ではTAPVC repairやarch repairに胸水遷延例が多いという結果であった。TAPVCにおける胸水遷延例は術前にPVOを合併した症例のみであり、胎児期を含めた長期の肺うっ血が術後の遷延性胸水に関与している可能性が考えられる。またarch repairでは大動脈近傍の操作があることから、リンパ管損傷の危険性が高い手術と考えられる。新生児期のNorwood手術は1症例であり、単純な比較はできないものの大動脈の外科的操作が必要であることを考えると、arch repairと同様にリンパ管損傷のリスクは高いと思われる。
【結論】新生児期のarch repair やPVOを伴うTAPVC repairは遷延性胸水のリスクが高い手術と考えられた。
【目的】当院で新生児期に心臓手術を受けた患者のうち胸水が遷延した症例について検討した。
【方法】2018年1月~2019年12月で新生児期に心臓手術を行った症例(未熟児動脈管は除く)について診療録を用いて後方視的に検討した。胸水が消失した日は胸腔ドレーンを抜去した日と定義した。
【結果】2018年1月~2019年12月で新生児期に心臓手術を行ったのは、のべ53例(男児28例、姑息術35例、人工心肺16例)だった。胸水が2週間以上遷延したのは7例(Truncus 1人、CoA complex 1人、DORV (false Taussig-Bing奇形)1人、TAPVC+PVO 2人、新生児心筋梗塞1人、HLHS 1人)で、そのうち1か月以上持続したのは2例(新生児心筋梗塞、HLHS)だった。胸水遷延例は生後7日以内の手術では20%(2/10)、生後14日以内の手術では12%(4/32)であり、術式ごとの比較では、PA banding 12%(2/16)、bilateral PA banding 12%(2/16)、TAPVC repair 40%(2/5)、arch repair 33%(2/6)、Norwood+RV-PA shunt 100%(1/1)1人だった。一方でBT shunt造設術やTGAの大血管スイッチ術では胸水遷延例はいなかった。
【考察】本検討ではTAPVC repairやarch repairに胸水遷延例が多いという結果であった。TAPVCにおける胸水遷延例は術前にPVOを合併した症例のみであり、胎児期を含めた長期の肺うっ血が術後の遷延性胸水に関与している可能性が考えられる。またarch repairでは大動脈近傍の操作があることから、リンパ管損傷の危険性が高い手術と考えられる。新生児期のNorwood手術は1症例であり、単純な比較はできないものの大動脈の外科的操作が必要であることを考えると、arch repairと同様にリンパ管損傷のリスクは高いと思われる。
【結論】新生児期のarch repair やPVOを伴うTAPVC repairは遷延性胸水のリスクが高い手術と考えられた。