[P66-4] 川崎病の親子例
キーワード:川崎病冠動脈瘤, 親子例, 川崎病既往
【はじめに】川崎病全国調査では罹患率の上昇とともに家族、同胞例の上昇も報告されている。今回、父親が川崎病冠動脈瘤既往のある兄弟例を経験したので若干の考察を加え報告する.【父親】42歳.1歳時に3か月程発熱持続し川崎病と診断されたが治療経過は不明、血管造影にて冠動脈瘤(CALs)を指摘されていたが、数回の検査後に大腿動脈閉鎖のため検査できず、定期受診の指示もされなかったため成人期に定期受診はしていなかった.今回、息子の川崎病診断を契機に胸部心臓CT施行.右冠動脈に広狭壁不整を認め、石灰化が散見,明らかな虚血所見なかったが、Flow Mediated Dilatation=3.5%と低下がありアスピリン、スタチン製剤を開始され定期観察となった.【兄】6歳時に発熱、頸部リンパ節腫脹を主訴に当院受診。WBC,CRP高値および咽頭後部の脂肪織濃度上昇を認め第4病日に川崎病と診断.治療前冠動脈Max z score=2.82,IVIG不応score (小林 score)でHigh riskのためIVIG 2g/kg, Prednisolone (PSL)2mg/kgを開始し解熱.心エコーの経過中、CALsは認めなかった.【弟】2歳時に発熱、眼球結膜充血を主訴に当院受診.第3病日に川崎病と診断.IVIG不応High riskのためIVIG2g/kg+PSLで治療開始, 治療前冠動脈Max z score=0.56, 初回治療不応で第6病日からインフレキシマブ追加、解熱するも発症2か月後の血管造影で左3.5mmと右5.1mmの冠動脈瘤を合併した.【考察】父親は川崎病の第1-2期流行世代で、医療者を含めて移行医療の認識が不十分であった。今回、兄弟ともIVIG不応high riskで弟はCALsを合併した.川崎病全国調査によれば家族例は第24回調査で368人(1.2%)、第25回で419人(1.3%)と報告されている。今後、家族例に対しては世代間に通じた包括的管理が必要となると思われる。