[P80-4] 右側相同心に伴う機能的単心室・肺動脈閉鎖に対する右室-肺動脈導管設置の試み
Keywords:右側相同心, 単心室, 右室-肺動脈導管
【背景】右側相同心(RIH)に伴う機能的単心室・肺動脈閉鎖に対し、2012年から体肺動脈シャントに代わり右室-肺動脈導管(RV-PA)を用いている。【目的】本治療戦略の中期成績を後方視的に検討。【対象】2012年6月以降にRV-PAを施行したRIHに伴う機能的単心室、肺動脈閉鎖連続11例。男女比4:7。出生体重中央値2.7kg。全例が右室型単心室・共通房室弁・心外型肺静脈還流異常の診断。軽度以上の房室弁逆流合併5例(45.4%)で経過中に房室弁形成施行。中心肺動脈離断/狭窄合併5例(45.4%)はRV-PA造設時に自己心膜を用いた中心肺動脈形成を併施。心外型肺静脈還流異常合併11例中10例(90.9%)で胎生期より還流路狭窄を指摘、うち4例で出生直後に垂直静脈にステント留置、6例は外科的修復(新生児期4例、両方向性グレン(BDG)と同時施行2例)。大動脈閉鎖合併の1例で同時手術としてノーウッド型大動脈弓再建を施行。【結果】追跡完遂率100%、術後観察期間中央値1.1年(最長6.2年)。RV-PA施行日齢中央値34日、初回手術でのRV-PA造設7例、段階的手術4例。conduitサイズは5mm 6例、6mm 5例。4例(36.3%)で閉胸前にclippingを行い、BDGまでにバルーンによるunclipping施行。肺血流過少に難渋した1例とRV-PA近位端による体心室流出路狭窄を来した1例でそれぞれ体肺動脈shuntへ移行。1、3、及び5年での累積生存率はそれぞれ70.7、53.0、及び53.0%。経過中の死亡は4例で、心臓死2例、壊死性腸炎1例、および急性呼吸障害1例。3年での累積Fontan到達率は35.4%で、Fontan到達3例、BDG後良好な心肺機能でFontan待機1例。【まとめ】左心低形成と比較しシャントは長く、近位端の胸壁圧迫も来し得るため、RV-PA conduitの成長に応じた段階的肺血流調整を容易とする優位性が活かせる症例は少ない。生存率・Fontan到達率の改善は明らかではないが、今後症例の蓄積と長期の経過観察を行った上で、体肺動脈短絡例との後方視的な比較検討を行う予定である。