第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

多領域

デジタルオーラルI(OR40)
多領域1

指定討論者:青木 雅子(東京女子医科大学)
指定討論者:吉田 佳織(大阪母子医療センター)

[OR40-5] 先天性心疾患の子どもが療養するPICU/NICUの緊急避難トリアージ及びアクションカード導入の効果

和田 幸子, 大川内 和代 (日本心臓血圧研究振興会附属 榊原記念病院)

キーワード:PICUNICU, 災害対策, アクションカード

【背景】自然災害が増えている昨今、災害対策への意識は高まっている。A病院PICU/NICUで災害対策の見直しを行ったところ、A病院既存のアクションカードでは初動に困難が生じる可能性があった。部署の特性を踏まえた緊急避難トリアージとアクションカードの導入の必要性が生じた。【目的】部署独自の緊急避難トリアージ区分とアクションカードを作成し、導入の効果を評価した。【方法】所属看護師27名を対象とした。緊急避難トリアージ区分とアクションカードの作成及び勉強会、導入を行なった。プレ・ポストアンケートを行い、災害対策への関心度や意識、不安の変化について調査し、t検定を用い分析し導入の効果を評価した。【結果】介入前、発災時の行動、患者家族への対応、リーダーとしての対応に関しての理解度が低く、不安を抱えていることが明確となった。介入後、災害対策への関心度、平時からの意識は高まり、緊急避難トリアージについても理解度が向上し、有意差が得られた。しかし、発災時の行動や対応についても理解度が向上したのに反して、リーダー看護師の発災時に対する不安が増強する結果となった。【考察】 所属看護師は、災害対策について関心はあるが、その対応がわからず不安が強かったと考えられる。今回の取り組みは、発災時の対応や初動が明確化され、意識の向上につながったと考えられた。一方、リーダー看護師の不安が増強したことは、リーダーとしての責務をより強く意識し、重圧を感じたことが要因と考えられる。【結論】循環器専門病院のPICU/NICUという特殊な療養環境における平時からの災害対策は非常に重要である。本研究により、部署独自の緊急避難トリアージ及びアクションカードの導入は、発災時の対応の理解度に有用性があると示唆された。今後はシミュレーション訓練を実施し、アクションカードの妥当性についても評価していく。また、BCPにおけるPICU/NICU独自の対応策を検討する。