第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

画像診断

デジタルオーラルII(P11)
画像診断 1

指定討論者:豊野 学朋(秋田大学大学院医学系研究科)
指定討論者:安田 和志(あいち小児保健医療総合センター)

[P11-6] Swiss-cheese VSDかmultiple muscular VSDか?AQ netによる評価:comb signの有用性

岡本 健吾, 鎌田 政博, 中川 直美, 石口 由希子, 川田 典子, 片岡 功一 (広島市立広島市民病院)

キーワード:CT, 心室中隔欠損, 筋性部

【背景】多孔性筋性部心室中隔欠損(mmVSD)の中でも、欠損孔が広範囲に及び心不全をきたすものはswiss-cheese VSD(sVSD)と呼ばれている。通常、カラードプラを含む心エコー検査で診断されるが、膜様部などにVSD大欠損を伴う場合velocity rangeを下げて観察するなどの注意が必要で、膜様部欠損の閉鎖のみで心不全を来さないか判断に悩む。最近mmVSD合併例のCT画像で心室中隔面に平行な断面で画像の再構成したところ、複数の欠損孔が櫛の歯状(Comb sign:C-sign)に描出され、sVSDを示唆する特徴的所見と考えられた。そこで今回、これまでsVSDと判定した症例で同所見が認められるか、またその特異性につき後方視的に検討した。【方法】sVSDと診断したToF(月齢35、体重12.0kg)とDORV(月齢25、体重13.5kg女児)それぞれ1例をsVSD群、sVSDとは考えられないmmVSD2例をmmVSD群、mVSD非合併例2例をnmVSD群として比較検討した。128列CTを用いECG非同期で1mmスライス画像から、Aquarius Net Viewerにより画像を再構成した。ウインドウ幅は500、レベル400程度として造影剤・心筋コントラストを増強させた。まずCT短軸・四腔断面像でmVSDを同定、そこから中隔面に平行な断面 (前壁、中央、後壁に3分割)を再構成しc-signの有無を観察した。【結果】SVSD 2例では中隔を貫通し櫛の歯状に広がるC-signを広範囲に認められた。一方mmVSD群で観察されたのは数条の平行線条のみ、nmVSDでも不明瞭な線条所見を認めたが、中隔を貫通せず肉柱域を捉えた所見と考えられた。【結論】CT検査はsVSDの心室中隔内での広がりを見るに有用で、comb sign陽性例ではsVSDに対する処置(姑息術, ICR, カテ治療を問わず)が必要と考えられた。