[II-P08-2-07] 肺動脈狭窄合併機能的単心室に対する初回姑息術としての経皮的肺動脈弁形成術
キーワード:カテーテル治療, 体肺動脈短絡術, グレン
【目的】 肺動脈狭窄を合併した機能的単心室への体肺動脈短絡術(APS)回避のため初回姑息術として経皮的肺動脈弁形成術(BVP)の効果を検討する。【方法】2017年以降、肺動脈狭窄を合併した機能的単心室症例に対して積極的にBVPを実施してきた。それ以前の症例を対照として、APS回避率、Glenn術前のSpO2、PA index、房室弁逆流の程度をBVP実施群と未実施群の2群間で比較した。【結果】BVP実施13例に対してBVP未実施90例であった。BVP実施時、生後75(20–111)日、体重4.1(3.3–4.8)kg、肺動脈弁輪Z値-3.9(-4.1─-3.4), バルーン径/PVD比 119(110─130)%であった。BVP後Glenn術到達12例(うち3例はAPSを経て)、Fontan1例(APS後Glennを経ずに)だった。BVP群において初回およびGlenn術前の血行動態を比較した場合、SpO2には変化はなかったが[ 76(72─83) vs 78(74─82)% (P=0.51)]、PA indexが有意に上昇した[201(162─278) vs 331(260─415) mm2/BSA (P=0.02)]。BVP後房室弁逆流悪化は2例だった。BVP実施群と未実施群の2群間で比較した場合、Glenn術前の血行動態は、SpO2 は78(75─82) vs 80(75─84)%(P=0.48)、PA indexは 331(239─392)vs 309(228─414)(P=0.99)、中等度以上房室弁逆流は4 例(30%) vs 11(16%) (P=0.25)であり2群間には差はなかった。APS回避率に差はなかった。さらに初回カテ時SpO2の傾向スコアマッチングにより抽出したBVP未実施の13例とGlenn術前の血行動態を比較したが、SpO2 は78(75─82) vs 79(72─82)%(P=0.75)、PA indexは 331(239─393) vs 439(254─493) mm2/BSA(P=0.34)であり、2群に差はなかった。【結果】肺動脈狭窄を合併した機能的単心室症例に対するBVPは、適応症例や手技などには議論の余地はあるが、初回姑息術としてAPSと同等の治療効果が得られ実施を考慮してよいと考える。