[I-OR02-03] 総肺静脈還流異常症を合併する無脾症候群・単心室症の現状
キーワード:無脾症候群, 総肺静脈還流異常症, PVO
【目的】総肺静脈還流異常症(TAPVC)合併単心室に関して、当院で治療した症例を検討した。【方法】1996年から2023年に、当院にて治療を受けた児を対象とし、診療録を元に後方視的に検討した。【結果】症例は60例。TAPVC分類は1型35例、2型5例、3型15例、4型5例。肺動脈閉鎖合併は25例、肺動脈狭窄合併は26例だった。観察期間は10日から25年(中央値3年5ヶ月)。死亡例は26例で、日齢10から11歳(中央値日齢279)、分類別では1型が14例、3型9例と続いた。初回手術にTAPVC修復術を含む例は38例で、手術時期は日齢0から176だった。これら38例のうち死亡例は19例で、16例は乳児期までの死亡だった。また、TAPVC修復術を行った時期は、新生児期は21例、それ以降は33例で、それぞれ死亡例は11例、13例だった。TAPVC修復術前にカテーテル治療を行った症例は11例あり、いずれも垂直静脈もしくは静脈管への介入だった(9例ステント留置、2例バルーン拡張)。11例のうち現在生存例は8例。また胎児診断症例は23例、そのうち生存例は13例であり胎児診断の有無と生存率には差はなかった。【考察】TAPVC合併無脾症候群の予後は不良であり、乳児期までの早期死亡例が多かった。分類別では3型が最も死亡率が高く、原因としてPVOが多かった。PVOを来した症例は予後不良と従来からされており、初回手術でTAPVCへ介入せざるを得ない症例の半数は死亡していた。3型であっても静脈管にステント留置し、PVOを回避してから手術を行った症例は4例あり、死亡は1例であった。これは待機的に行う事で末梢肺静脈の成長やCPVの成長が期待して行っている。しかし、まだ症例数、観察期間が短く今後の検討事項である。【結論】TAPVC合併無脾症候群単心室症の予後不良であったが、カテーテル治療を含めた内科管理を行い待機的に行う事により生存率の向上に寄与できる可能性がある。