The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Oral Session

複雑心奇形

Oral Session (I-OR02)

Thu. Jul 11, 2024 9:10 AM - 10:10 AM ROOM 6 (4F 401-403)

座長:宮地 鑑(北里大学医学部心臓血管外科)
座長:麻生 健太郎(聖マリアンナ医科大学 小児科)

[I-OR02-04] Impact of pulmonary vasodilators in the Fontan circulation

齋木 宏文1, 松尾 悠1, 工藤 諒1, 高橋 卓也1, 齋藤 寛治1, 佐藤 啓1, 清野 精康1, 桑田 聖子1, 中野 智1, 小泉 淳一2, 小山 耕太郎1,3 (1.岩手医科大学 小児科学講座 小児循環器病学, 2.岩手医科大学 心臓血管外科, 3.みちのく療育園 小児科)

Keywords:フォンタン, 肺血管拡張薬, 遠隔期

背景:近年フォンタン循環において肺動脈圧低下に寄与する可能性が示唆されたが, その遠隔期についての明確な指針はない。フォンタン循環管理において肺血管拡張薬が有用であるという仮説を検証した。対象と方法:フォンタン術後症例116例のうち, 肺血管拡張薬 (PDE5i, ETA, PGI2)を使用または使用していたことがある症例は45例であった.心臓カテーテル検査時の血行動態データを比較検討した.また肺血管拡張薬を経過中に中止した症例の肺動脈圧・肺血管抵抗の推移を解析した.結果:肺血管拡張薬使用例は非使用例と比較し年齢 (8.7±7.1, 10.0±6.5歳), 性別 (F 42, 46%), 血圧, 心拍出量 (2.7±0.9, 2.7±0.6L/min/m2), 人工導管サイズに差が無かったが, 酸素飽和度は低値(90±5, 92±4 %, p=0.0076)を示し, 中心静脈圧(12.6±2.4, 11.4±2.2 mmHg, p=0.0006), 肺動脈圧 (11.5±2.0, 10.8±1.9 mmHg, p=0.0094), 肺動脈楔入圧 (7.8±2.1, 6.7±1.9 mmHg, p=0.0004), 肝静脈楔入圧(13.2±2.2, 12.3±2.3 mmHg, p=0.0090)が高かった. 一方, 経肺圧較差(3.7±1.6, 4.1±1.5 mmHg, p=0.15), 経肝圧較差(0.58±0.67, 0.84±0.68 mmHg, p=0.011)ともに小さい傾向が認められた. 肺血管拡張薬使用例は心拍数が速く, BNP値(31±40, 19±27 pg/ml, p=0.017)がやや高かったが, 心室拡張末期圧には差が無かった. 肺血管拡張薬を遠隔期に中止した20例のうち前後で評価を行った15例中10例 で中止後に肺動脈圧および血管抵抗の上昇を認めた。上昇しなかった5例中3例は術後遠隔期の追加手術時(TCPC conversion等)に早期中止を前提に開始した症例であった.結論:肺血管拡張薬は心負荷が強い傾向のある症例に使用され, 肺動脈圧は高いものの経肺圧較差・経肝圧較差ともに非使用例より低い傾向があり, 肺血管拡張に加え静脈系リモデリング予防にも寄与する可能性も示唆される. 遠隔期の中止後には高率に肺動脈圧上昇を来し注意が必要である.