[I-OR05-02] 肺動脈弁輪を温存したファロー四徴修復の遠隔成績における肺動脈二尖弁および右室切開の影響
キーワード:ファロー四徴, 肺動脈弁輪温存, 肺動脈二尖弁
(背景)ファロー四徴(TF)修復における肺動脈弁輪温存は肺動脈逆流の発生や右室機能低下を防ぎうるが、肺動脈二尖弁に対する弁輪温存の長期成績や、右室切開による右室流出路形成が遠隔期に与える影響は明らかではない。(目的)TF修復術後の肺動脈弁輪温存症例において、肺動脈二尖弁および右室切開が再手術回避率および右室機能に与える影響を検討すること。(方法)対象は1966年から2014年の間に当院で肺動脈弁輪温存によるTF修復術を施行し、フォローを継続している症例。肺動脈二尖弁例と肺動脈三尖弁例に群分けし、右室流出路に対する再手術回避率を比較した。また、遠隔期にCTまたはMRIでRVEFを計測した症例における右室切開の影響を検討した。(結果)症例は85例。TF修復時の年齢は中央値2.3(IQR1.5-4.9)歳。TF修復術後のフォローアップ期間は中央値38.6(IQR30.0-48.2)年。肺動脈二尖弁が48例で肺動脈三尖弁が37例。右室流出路に対する再手術は全24例で、術後40年の再手術回避率は二尖弁例が58%、三尖弁例が96% (Log-rank: p= 0.01)。TF修復術後中央値36.6年の遠隔期にCMRまたはCTでRVEFを計測した57例のうち、右室切開症例は22例。RVEFは、右室切開症例が平均39.6±9.7%、右室温存症例が平均49.1±10.9%(p=0.001)であった。(考察)肺動脈二尖弁を有するTF症例では、弁輪温存の場合でも遠隔期に弁機能不全をきたしやすい。TF修復時の右室切開は、術後遠隔期のRVEF低下に関連すると考えられ、可能な限り経右房、経肺動脈での右室流出路形成を行うことが望ましい。(結語)肺動脈弁輪温存によるTF修復術後遠隔期において、肺動脈二尖弁は再手術の有意な関連因子であり、右室切開はRVEFの低下に関連する。