第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

一般心臓病学

ポスター発表(I-P03-1)
一般心臓病学

2024年7月11日(木) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:中山 智孝(高知赤十字病院 小児科)

[I-P03-1-02] 学校心臓検診を契機に発見された不完全型房室中隔欠損症の1例

泉田 健介, 渡邉 誠, 松井 亮介, 築野 香苗, 橋本 佳亮, 橋本 康司, 阿部 正徳, 上砂 光裕 (日本医科大学 医学部 医学科)

キーワード:房室中隔欠損症, 心房中隔欠損症, 学校検診

【背景】 房室中隔欠損症は不完全型の場合、無症状で経過し検診などで心雑音の指摘から発見される事が多い。しかし不完全型であっても房室弁逆流が見られる場合は小児期早期から心不全症状、肺高血圧がみられることがある。今回、症状があるにも関わらず受診機会がなく、学校心臓検診の心電図異常を契機に発見された不完全型房室中隔欠損症を経験した。【症例】 症例は13歳女児。元々労作時の息切れや易疲労感は自覚していたが、特に精査は行っていなかった。今回学校心臓検診で心電図異常を指摘され、2次検診の心臓超音波検査で房室中隔欠損症の指摘があり精査加療目的で当院に紹介となった。胸部聴診所見ではLevine2/6の汎収縮期雑音が聴取され、胸部X線では心胸郭比は50.43%および軽度の肺血管陰影増強を認め、心電図では-50度の左軸偏位を認めた。心臓超音波検査では径3.0cmの一次孔型心房中隔欠損および左側房室弁の3弁様形成とcleftから中等度の左側房室弁逆流を認め、不完全型房室中隔欠損症と診断した。心臓カテーテル検査を行い、Qp/Qs 2.76の肺血流量増加を認めたが、肺動脈圧は24/14(10)mmHg、肺血管抵抗は0.66 wood単位・m2と肺高血圧は認めなかった。以上より手術適応と判断し、心房中隔欠損閉鎖術とcleft縫合を施行し、術後経過は良好である。【考察】 本症例ではQp/Qs 2.76の肺血流量増加および中等度の左側房室弁逆流を認めたが肺高血圧には至っておらず、心不全も軽度であった。シャントが心房間交通のみであるため、心不全症状は軽度で済んだと考えられ、肺高血圧も進行する前に発見・精査されたことで根治術をすることができた。これ以上発見が遅れることで、さらなる心不全症状の悪化や肺高血圧の進行のリスクがあったが、学校心臓検診のおかげで適切な治療を行うことができ、改めて学校心臓検診の重要性を認識した。