第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション7(I-PD7)
成人期まで未治療の複雑先天性心疾患の治療戦略を考える - beyond the guidelines

2024年7月11日(木) 13:10 〜 14:40 第8会場・JCK-AP Forum (5F 502+503)

座長:石津 智子(筑波大学 循環器内科)
座長:齋木 佳克(東北大学)

[I-PD7-3] 成人期修正大血管転位症の治療戦略

坂本 一郎1, 石北 綾子1, 西崎 晶子1, 柿野 貴盛1, 寺師 英子2, 山村 健一郎2, 安東 勇介3, 園田 拓道3, 塩瀬 明3 (1.九州大学病院 循環器内科, 2.九州大学病院 小児科, 3.九州大学病院 心臓血管外科)

キーワード:修正大血管転位症, 体心室右室, 三尖弁閉鎖不全症

成人期まで未治療の修正大血管転位症(ccTGA)は発見時に心室中隔欠損症や肺動脈弁狭窄の合併心奇形がないか、同様に合併心奇形がなく成人期に初めて診断される症例である。チアノーゼがなく、小児期は症状が顕在化していない症例がほとんどで治療介入のタイミングが悩ましい。しかし体心室が解剖学的右室となるため、成人期には体心室右室機能不全・三尖弁閉鎖不全症による心不全が問題になることが多い。体心室右室機能が低下し難治性の心不全に至る場合、最終的な治療方法は心臓移植しかないが、ドナー不足の本邦では心臓移植を回避することが重要である。そのためには三尖弁置換術・心臓再同期療法・心不全薬物療法を適切なタイミングで導入することが極めて重要である。ccTGAは希少疾患であるが、成人期まで未治療の症例だけに限ると比較的均一な疾患群と捉えることが可能であり、治療戦略も標準化することが可能と考えられ、当院における治療戦略を症例提示しながら解説したい。