[II-CPD3-4] 吹田市における学校心臓検診のデジタル化の取り組み
キーワード:学校心臓検診, MFER, 機械学習
【背景】学校心臓検診の心電図判読は紙ベースで行われることが多いが、地域によってデジタル化が進められている。【方法】当センターが担当している吹田市と箕面市の学校心臓検診について比較し、デジタル化についての課題を検討する。【結果】①1次検診での心電図判読について…吹田市の検診ではPCを用いた心電図判読を行っている。各学校で記録された12誘導心電図を心電計からMFER形式で抽出し、画像データに変換する。病院内に設置したPC内にデータをインストールし、判読用のソフトを用いて、PC画面上で心電図を閲覧し、判読結果を入力する。一方、箕面市の検診では紙ベースで心電図判読を行っている。各学校で12誘導心電図を記録し、印刷した心電図を、台紙に糊で張り付け、紙データとして病院内に持ち込まれる。一枚一枚をめくりながら判読し、手書きで結果を台紙に記入している。②データ利用について…吹田市は1次検診の過去の心電図データをMFER形式のデータとして全て保管してきた。市側と協議を重ね、計70,000以上の心電図データを機械学習を用いた学校心臓検診用の心電図診断システム開発に利用できるようになった。また、3次検診以降の心電図データや診断結果と照らし合わせ、疾患の診断システムの開発も進めている。【考察】紙ベースの心電図判読はすでに確立した方法で、ほぼ全ての健診業者が実施可能である。デジタルデータを用いた検診は、専用のソフトやPCなどを準備する必要があり、必ずしもどこでも実施が可能ではない。判読に要する時間や労力は、判読者の慣れは必要だが、紙とPCで大差はない。紙データに比べ、MFER形式でのデータは互換性があり、他のデータとの比較が容易である。また、詳細な波形情報が得られるため、特に機械学習を用いた研究などへの応用が可能である。【結論】今後、学校心臓検診での心電図判読でのデジタル化が進むことが期待される。