第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

集中治療・周術期管理

ポスター発表(II-P01-2)
集中治療・周術期管理1

2024年7月12日(金) 12:40 〜 13:40 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:大崎 真樹(東京都立小児総合医療センター)

[II-P01-2-01] 先天性心疾患姑息術におけるAvalon Elite Bi-Caval Dual Lumen Catheterを用いたV-V ECMOの使用経験

前田 昂大1, 提島 丈雄1, 名和 智裕1, 澤田 まどか1, 高室 基樹1, 庭野 陽樹2, 浅井 英嗣2, 夷岡 徳彦2, 酒井 渉3, 小笠原 裕樹4 (1.北海道立子ども総合医療療育センター 小児循環器科, 2.北海道立子ども総合医療療育センター 心臓血管外科, 3.北海道立子ども総合医療療育センター 集中治療科, 4.北海道立子ども総合医療療育センター 臨床工学科)

キーワード:ECMO, 周術期管理, 体外循環

【背景】Avalon Elite Bi-Caval Dual Lumen Catheter は当初は成人用であったが、小型サイズの開発により小児例に対しても用いられてきている。国内では2018年に承認され、小児に対する使用が期待されている。【症例】Cantrell症候群、心室中隔欠損、肺動脈狭窄をもつ 生後3ヶ月、体重3.5kgの男児 。臍帯ヘルニア・左横隔膜ヘルニアに対して生直後に手術を施行した。気管軟化症があり、長期の人工呼吸管理が必要なため生後2ヶ月時に気管切開術を施行した。体重増加に伴い 人工呼吸器の設定を上限としても低酸素血症やpCO2貯留・呼吸性アシドーシスが顕在化した。心臓MRI検査ではQp/Qs=0.4と低肺血流状態であり、BT shunt術(BTS)が必要と判断した。気管切開孔や生直後の術創があるため、正中切開は縦隔炎などのリスクがあり左側開胸でのBTSを計画した。手術前の体位調整でも酸素化や換気の悪化を認めており、術中は左肺を圧排しながらの介入となるためECMOの導入が必要と判断した。臍帯ヘルニアなどの影響で鼠径部の血管は蛇行し、適切なvascular accessが制限されていたため、右内頸静脈からAvalon Elite Bi-Caval Dual Lumen Catheter 13Frを挿入しV-V ECMOを導入する方針とした。心エコーとX線透視装置を用いて上大静脈・下大静脈に脱血口が位置し、送血口が三尖弁方向に向いていることを確認した。術中はトラブルなく経過し、手術終了と同時にECMOは離脱した。【考察】Avalon Elite Bi-Caval Dual Lumen Catheter を用いて安全にV-V ECMOを行うことができた。小さな体格やvasclular accessが限られる中でECMO導入が必要になる先天性心疾患症例において有用である。