第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

冠動脈・弁疾患

ポスター発表(III-P03-3)
冠動脈・弁疾患

2024年7月13日(土) 11:00 〜 12:00 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:安藤 誠(金沢医科大学 小児外科)

[III-P03-3-06] 大動脈壁flap+肺動脈壁patchによる冠動脈入口部形成術の検討

古川 夕里香, 橘 剛 (神奈川県立こども医療センター)

キーワード:冠動脈入口部形成, 冠動脈起始異常, 術後冠動脈狭窄

【背景】小児期に血行再建が必要と考えられる冠動脈入口部狭窄・閉塞病変や冠動脈起始異常は稀に存在するが、側副血行の競合のため冠動脈バイパス手術は選択し難く冠動脈入口部形成も一般に行われている。今回、汎用性の高い入口部形成術式を幾つかの状況に適応したため報告する。【症例】2018年1月-2023年12月までの5年間に紹介を受けた8例中、手術適応と判断した7例。年齢2歳10ヶ月-14歳10ヶ月、体重14.9-55.8kg(27.7±16.6kg)。診断はLMT atresia 2例、大血管スイッチ後のLMT狭窄1例、右冠動脈左冠動脈起始2例、左冠動脈右冠動脈起始(右室流出路円錐部中隔内走行)2例。【方法】全例、大動脈壁flap+肺動脈壁patchによる冠動脈入口部形成を行った。本法はST junction上の大動脈壁をfllapとして冠動脈のfloorを形成し用いる主肺動脈壁パッチの捻れを防ぎつつsmoothなtaperingの形態を作った上で狭窄病変を解除することを目指す方法。全例、体外循環・心停止下で行った。【結果】手術時間255±17分、体外循環時間142±25分、大動脈遮断時間91±18分で周術期合併症・死亡なし。全例1年後に冠動脈造影検査を行い有意な狭窄を認めなかった。全例術後は運動制限なく無症状で経過、平均観察期間は34±26ヵ月でエコーfollow up上は狭窄・瘤化や大動脈弁閉鎖不全を認めていない。【考察】冠動脈起入口部形成はunroofing procedureが広く行われているが、本法は形成部位が大動脈壁から離れている場合に特にも有効に行う事ができる。入口部から離れた病変には対応出来ない事、手技がunroofing procedureと比較し複雑である事が問題と考えられる。【結語】冠動脈入口部狭窄・閉塞病変や冠動脈起始異常に対して本術式による冠動脈入口部形成を行った結果と考察を報告する。