日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育方法 ポスター発表

[09 方ーポー33] アスリートのリーダーシップに関する研究の動向と今後の展望

〇村上 大記1、松元 剛2 (1.茨城県立医療大学、2.筑波大学)

スポーツにおけるリーダーシップに関する研究は時流のリーダーシップ理論に沿って行われてきた。特性理論・行動理論・条件適合理論・リーダーメンバー交換理論・変革型リーダーシップ理論と、理論が変遷していく中で長い間研究の中心となっていたのは、コーチをスポーツ集団におけるリーダーとして位置づけた、コーチのリーダーシップを対象とした研究であった。しかしながら、後にアスリートが発揮するリーダーシップがチームに様々な好影響を与えることが明らかとなってからは、アスリートのリーダーシップに関する研究への注目が高まった。加えてこれまではコーチやキャプテンなど単一のリーダーのリーダシップのみに焦点を当てた研究がほとんどであったが、「複数のチームメンバーにリーダーシップの役割と影響力が分散されているチーム状態」(Carsonら、2007)とされるShared Leadershipが提唱され、最近のアスリートのリーダーシップ研究は、個々のアスリートを対象とした研究に留まらず、チームメンバーの関係性の中でリーダーシップを捉えるチーム単位での研究へと発展を遂げている。
今後のアスリートのリーダーシップに関する研究においても、チームキャプテンのみに焦点をあてるのではなく非公式なリーダーの存在を考慮に入れた、Shared Leadershipの考え方に基づき研究を発展させることが求められる。Fransenら(2015)はSocial Network Analysisという先駆的な手法を用いてスポーツチーム内のリーダーシップに関する研究を行っている。チーム内のリーダーシップ構造をネットワークとして分析することで、非公式なリーダーの存在やメンバーの関係性を明らかにすることができることから、Social Network Analysisはアスリートのリーダーシップのより深い洞察を可能にする手法として期待されている。