日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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バイオメカニクス/口頭発表②

2021年9月9日(木) 13:30 〜 14:13 会場6 (Zoom)

座長:佐渡 夏紀(筑波大学)

13:45 〜 13:58

[05 バ-口-05] 切り返し動作制動局面の地面反力生成に影響を及ぼすバイオメカニクス的特徴

地面反力Loading Rate によるグループ分けの場合

*日高 遼子1、山﨑 裕太1、田岡 あずみ2、鵜澤 大樹2、仲谷 政剛2、小池 関也3 (1. 筑波大学 人間総合科学学術院、2. アシックススポーツ工学研究所、3. 筑波大学 体育系)

【背景】各種球技スポーツでは、走方向を180°転換する切り返し動作が多く求められる。切り返し動作は、身体重心速度を0になるまで制動したのち、身体重心速度を獲得し加速する必要がある。本研究は切り返し動作中の制動・加速に重要な進入方向成分の地面反力に着目し、その獲得に影響を与えるバイオメカニクス的特徴を明らかにすることを目的とする。
【方法】本研究では力及びトルクの各時間応答を時間微分した値をLoading Rate とし、Loading Rate の最大値を Maximum Loading Rate (MLR) として算出した。対象試技は大学女子バスケットボール選手10名による、 3段階の助走歩数(0歩、2歩、4歩)における最大努力の走動作からの180°の切り返し動作とした。助走距離は、各助走歩数に対し、対象者ごとに適切な距離を測定し、設定した。20台のカメラを有する3次元動作分析装置(250Hz)を用いて、身体51点及びシューズ15点に貼付した赤外線反射マーカーの三次元座標値を計測し、同時に、地面反力計(1000Hz)を用いて、地面反力データを計測した。分析区間は支持脚の接地から離地までとした。
【結果と考察】地面反力進入方向成分のMLRの値が大きい対象者と小さい対象者、各3名ずつを比較したところ、制動に要した時間、及び制動局面における進入方向成分の平均獲得地面反力に差異は見られなかった。一方で、 MLRの大きい対象者には、小さい対象者と比べ、以下の特徴がみられた。(1)支持脚1歩前での身体重心速度の減速が小さい。(2)支持脚接地瞬間の身体重心速度が大きい。(3)制動局面における足部前後方向の足圧中心位置の最大移動速度が大きい。(4)足関節各関節軸トルクのMLRが大きい。これらの特徴から、MLRの大きな対象者が、体軸を利用して制動を行っていると考えられる。