The 72nd Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

Presentation information

Oral (Subdiscipline)

専門領域別 » 体育社会学

体育社会学/口頭発表②

Fri. Sep 2, 2022 1:10 PM - 2:27 PM 第7会場 (2号館1階12教室)

Chair: Hidesato Takahashi (Nara University of Education)

2:02 PM - 2:27 PM

[02社-口-05] キャリア形成をめぐる体育会文化に関する実証的研究

体育会所属学生を対象として

*Ami Miyazaki1, Tetsuya Matsuo1 (1. Rikkyo Univ.)

近年、トップアスリートの引退後の職業生活への移行の困難性、キャリア形成に不安を抱えたまま競技を継続することによるパフォーマンスの低下等、アスリートのキャリア形成に関する問題が顕在化している。吉田ら(2006)によれば、競技力向上のために、スポーツに専心し、多大な時間を競技活動に費やすことから、学業や仕事の停滞が生じ、競技引退後のキャリアに不安を感じる恐れがあると言われている。また、競技活動のみに専心した生活を送るため、競技引退後の職業生活への移行に困難をきたし、時にその反動から引退後の生活でアイデンティティを保てなくなるなどの心理的問題を抱えることも問題視されている(青石ら, 2010)。
 しかしながら、このような問題はプロや実業団等のトップアスリートに限られたものではない。2019年に設立した一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)は、大学運動部学生へのキャリア形成支援を重要課題として挙げており、大学で体育会運動部に所属し、スポーツに専心してきた学生も同様にキャリア形成に関して課題を抱えているものと考えられる。
 体育会所属学生のキャリア形成について、束原(2021)によれば、体育会に所属している学生は有利に就職できるという伝統的な「体育会系神話」は、「威信の高い大学」、「伝統的チームスポーツ」、「男性」だけが成立する条件となってきたことを明らかにしている。このように体育会所属学生のキャリア形成においては、その背景に体育会系神話をはじめとする体育会文化が大きく影響しているものと考えられる。
 そこで本研究では、体育会所属学生のキャリア形成過程において、体育会文化がどのような影響を与えているのかについて、体育会所属学生を対象として半構造化インタビュー調査を実施し、その結果について修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて検討した。学会ではその詳細な検討結果を報告する。