日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

臨床(認定医・専門医)ポスター

歯周形成手術

臨床(認定医・専門医)ポスター
歯周形成手術

2017年12月17日(日) 09:00 〜 16:50 ポスター会場 (さくら)

DP-41~DP-47
(ポスター討論:12:00~12:50)

[DP-42] 複数歯の歯肉退縮に根面被覆術を試みた一症例

Treatment of multiple gingival recession defects with root coverage procedures: A case report

大西 英知,鈴木 允文,申 基喆/Hidetomo Onishi,Takafumi Suzuki,Kitetsu Shin (明海大学歯学部 口腔生物再生医工学講座 歯周病学分野/Division of Periodontology, Department of Oral Biology & Tissue Engineering, Meikai University School of Dentistry)

研修コード:2504

キーワード:歯肉退縮、上皮下結合組織移植、トンネル法、歯肉弁歯冠側移動術

【症例の概要】患者は48歳,女性。2014年4月に前歯部の歯肉退縮を主訴に来院した。歯周病検査の結果,11, 13, 21, 23, 31-35, 41-45はMillerの歯肉退縮の分類Class Ⅲ,MaynardとWilsonによる歯周組織厚さの分類Type 4に分類され,4㎜以上の歯周ポケットが認められた。X線検査で軽度から中等度の水平性骨吸収が認められた。以上より,歯肉退縮,二次性咬合性外傷および限局型中等度慢性歯周炎と診断した。
【治療方針】歯周基本治療を行い,再評価後に根面被覆術を行う。再評価後,メインテナンスへ移行する。
【治療経過・治療成績】プラークコントロール確立後,4㎜以上の歯周ポケットに対してスケーリングルートプレーニング,二次性咬合性外傷に対して咬合調整を行った。再評価後,根面被覆術予定歯は歯周ポケット深さが3㎜以下に改善したため,11-21, 32-42にはトンネル法を用いた上皮下結合組織移植,13, 23, 33-35, 43-45には歯肉弁歯冠側移動術を用いた上皮下結合組織移植による根面被覆術を行った。術後,全ての部位で歯肉退縮深さの減少と付着歯肉幅の増大が認められた。
【考察・結論】本症例では,術前の歯肉退縮深さ,付着歯肉幅を基準とした根面被覆術の術式選択(Zuhr et al., 2015 )を適切に行ったことで,良好な歯肉退縮の改善が得られたと考えられる。根面被覆術の術式選択を適切に行うことで,Millerの歯肉退縮の分類Class Ⅲの歯肉退縮においても,良好な審美改善が得られることが示唆された。