粉体粉末冶金協会 平成30年度春季大会(第121回講演大会)

企画セッションおよび講演特集

企画セッションおよび講演特集

企画セッション
 1.ヘテロ組織制御による高機能材料創製 
 ナノ・メゾ結晶粒材料やヘテロ構造材料などの結晶粒径勾配を有する微細結晶粒材料は力学的特性に優れるだけでなく,物理的・化学的特性にも特異な特性を示すことから注目され,これまでに多くの研究が行われてきました.さらに,新規材料プロセスの開発等により材料内部の微細組織制御技術は大きく発展しています.これらに共通するキーワードとして「ヘテロ組織制御」があげられます.
本企画セッションでは,ナノ・メゾ組織制御,ヘテロ組織制御によってもたらされる新しい微細構造と力学特性に着目し,両者の関連性について様々な面から議論したいと考えています.粉末冶金材料に限らず,様々な材料も含めた新たな材料創製のアイデアに結びつくことを期待しています.奮ってご参加下さい.
 
2.セラミックスの高機能化と製造プロセスの革新
セラミック部材は軽量で優れた耐熱性・耐久性・耐食性・機械的特性・電気的特性等の特徴を備えており,多くの分野で使われ,様々な産業を支えています.現在世界の生産額の40%強を占めている日本のセラミックス産業が競争力を失うと,日本全体の産業競争力の減退につながりかねません.セラミック産業は,世界の生産額が2012年の5兆円が2020年には11兆円と高成長が期待されています.今後も高い競争力を維持することは,日本のセラミックス産業のみならず,日本の他の産業と日本社会にとって重要な意味を持ちます.そのためには,製造プロセスの革新がキーとなります.セラミックス製造プロセスは,粉末合成,混合・造粒,成形,脱脂,仮焼・焼結,後加工・検査までを含みます.科学的な観点から製造工程全体を見直して,目視と勘と職人芸に頼る部分から基盤技術を基礎科学に立脚して確立し,生産性の向上と機能向上のための「技術の体系化」が必要とされています.
JSTの研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)の「産業ニーズ対応タイプ」として,2016年度から「セラミックスの高機能化と製造プロセスの革新」のプログラムがスタートしました.本特集では,プロジェクト参加者の他にも,新しいセラミックス製造プロセスの話題を広く募集し,産業界と大学,公的機関の研究者の討論を通して,セラミックスの高機能化と製造プロセスの革新に繋げて行けたらと思っています.奮ってご参加下さい.
 
講演特集
1.HIP/CIPおよび関連技術 
 HIP/CIPは1950年代に開発されて以降,主に,高品質・高性能な材料製作には欠かせない技術として発展してきました.現在では航空機部品,ガスタービン部品,半導体用ターゲット,セラミックス製造などを始め,数多くの分野に適応され,産業の基幹技術の一つとして非常な重要な位置を占めるに至っています.特に近年は航空機産業の拡大やAdditive Manufacturingとの親和性などを背景に,世界的な装置販売台数は増加傾向にあります.また直径3mといった超大型装置の検討も進んでいます.このように基幹技術として発展する一方で,研究開発分野では,新材料や利用技術という新鮮味が薄れ,研究発表の件数は減少傾向にあります.本特集では,人的な交流,情報交換を活発化してHIP/CIP技術およびその関連技術の更なる飛躍と,産業へのより一層の貢献を推進することを目的として,基礎科学的な研究,工業製品への利用例, 新たな分野への適応の可能性など,HIP/CIPに関連する幅広い領域での講演発表を募集します.奮ってのご参加を期待しております.
 
2.粉末冶金技術と材料評価に関する新たな展開
粉末冶金プロセスを用いた製造技術は,様々な分野で活用され発展を続けている重要な技術です.また,その技術で製造した材料・製品を適切な方法で定量的に評価することも重要となります.本特集では,粉末冶金プロセスが関わる新しい製造技術や材料特性の定量評価に関連する様々な研究内容を対象として募集します.例えば,前回(平成28年春季大会)の講演特集では,ガス噴霧ノズルに関する研究,粉末充填における流動性変動に関する研究,金属圧粉体の抜出し易さの定量化の研究,焼結鋼のミクロ組織制御に関する研究,ポーラス金属の気孔構造制御に関する研究,Ni系ろう材の腐食特性に関する研究,調和組織制御材料に関する研究,アルミニウム基複合材料の研究,積層造形技術に関する研究など多岐にわたる分野の発表が計16件ありました.今回の講演特集も,様々な分野からの研究発表を歓迎します.多数のご応募とご参加を期待します.
 
3.磁性材料・磁気デバイスにおける微細構造制御と機能発現
ハード磁性,ソフト磁性を問わず,またはバルク,薄膜,微粒子等の形態を問わず,磁性材料における微細構造の制御は,それらの磁気特性を左右することから,応用先である各種磁気デバイスの新機能・高機能発現にとって重要な技術となっています.本特集では,磁性材料・磁気デバイスにおけるナノメートルからマイクロメートルレベルまでに及ぶ微細構造の創製・制御・評価技術と,それらの技術によって誘起される機能と応用に関する話題を募集し,新しい研究開発に向けて展開できるような討論を実施したいと考えています.エネルギー変換デバイス・装置で用いられる,永久磁石用ハード磁性材料では,新規磁石材料や新規作製プロセスなどについても注目し,希土類系からフェライトまで,ソフト磁性材料についてはフェライトから圧粉磁心などでも用いられる金属系磁性粉まで幅広く募集します.奮ってご参加下さい.
 
4.各種粉末の焼結技術および焼結機構の新たな展開
本特集は,最近注目を浴びている3次元粉末積層焼結造形法に加え,金属粉末射出成形法による複雑形状部品の作製,パルス通電加熱やミリ波・マイクロ波加熱などの新しい焼結法について意見交換するとともに,粉末押出し法などの加圧焼結および従来の固相焼結,液相焼結につて粉体粒子の焼結メカニズムの理解を踏まえた焼結技術の現状と将来を展望することを企画します.各種粉末の焼結技術は,自動車を始めとする精密機械部品の製造に対して基本的にますます重要となっています.雰囲気や加熱条件,熱源の操作条件,電磁場などの諸条件の影響,微量添加元素による焼結の促進効果,また,粒子間結合ネックサイズレベルの構造制御が材料機能特性に直接関わってくるため,基礎的な実験的・理論的研究,さらには新しい焼結法の提案なども含め,焼結技術に関連した講演を広く募集します.