粉体粉末冶金協会2019年度秋季大会(第124回講演大会)

今回の企画セッション及び講演特集

企画セッション

1.外場印加による粉体プロセスの新展開
 新しい機能の付与や性能の向上のためには,組織の微細化が重要で,さらにナノサイズからミクロンサイズの粒径を持つ組織の階層化,傾斜化,配向化、そしてその組織の多孔化や緻密化が求められています.そのため、外場を印加することによる粉体プロセスの高度化が試みられています.本セッションでは,粉体に応力を印加した改質や複合粉の創製、コロイド分散系に電場を印加して成形する電気泳動堆積法,コロイド成形中に磁場を印加して配向体の作製,電磁波を印加したパルス通電焼結やミリ波・マイクロ波焼結,電圧印加したフラッシュ焼結,などが発表されます.粉体プロセス過程において,様々な外場を印加することによる効果およびその機構を議論し,粉体プロセスのさらなる高度化につながることを目指します.多くの方々の参加をお願いするとともに、活発な議論を期待しています.
 

講演特集

1.メカニカルアロイング技術の基礎と応用
 メカニカルアロイング(メカニカルミリング)やメカノケミカル反応を用いた粉末合成・処理,新材料開発は金属材料,無機材料,有機材料など材料の種類を問わずなど最近様々な分野で用いられています.その応用範囲は活性な粉末特性を活かした触媒への応用,あるいはナノ材料の特性を活かした焼結材料への応用など多岐にわたっています.しかし,メカニカルアロイングの統一的な理解が必ずしもなされているとは言えず,狭い分野内での議論にとどまっています.また,メカニカルアロイングの手法として用いられるボールミル手法についても古くからのノウハウの蓄積があるものの,メカニカルアロイングに十分活かされているとはいえません.本講演特集では,メカニカルアロイング手法に関わるボールミル処理からメカノケミカル反応まで広く講演を募集し,今一度メカニカルアロイングに関連した知見を情報交換し,活発な議論を期待しています.

2.硬質(工具)材料の技術・研究における新たな展開
 工作機械をはじめとした加工技術の高性能化,高効率化のためには,硬質(工具)材料の性能,製造プロセス,コスト,資源などの多くの観点からの今後の技術発展が期待されています.本特集では,切削工具あるいは耐摩耗工具等に用いられる硬質材料として,WC 基超硬合金, Ti(C,N) 基サーメット,セラミックス,cBN・ダイヤモンド焼結体,CVD,PVD などの材料・コーティング技術を取り上げ, 原料,材料組織,基礎特性,工具特性,製造技術ならびに関連の解析法,理論,シミュレーションなどに関する最近の研究課題と成果,新しい技術動向・進展などの発表を募集します.奮ってご参加下さい.

 
3.磁性材料・磁気デバイスにおける微細構造制御と機能発現
 本特集では,ハード磁性,ソフト磁性等の様々な材料について,バルク,薄膜,微粒子等の形態を問わず,材料の磁気特性や応用先における機能と微細構造を結び付けて議論する多くの研究を紹介してきました.今回もこの方針を継続し,産官学から多くの機関の研究者が集い討論する場となることを期待して講演を募集したいと考えています.特に,最近,新たな展開が報告されている磁気解析技術,ThMn12型化合物などの希土類磁石やCaLaCo系M型フェライト磁石,さらには今後エネルギー問題やSociety 5.0(ソサエティ5.0)と直結すると考えられているソフト磁性材料などを取り上げ,これらにおける最近の話題提供の場となるような特集を構成したいと考えています.多くの皆様の講演申込をお待ちしています.また奮って特集にご参加下さい.
 

4.粉体グリーンプロセスにおける環境・エネルギー関連材料及び技術の新展開
 近年エネルギーの効率的利用の観点から,エネルギー蓄積および創生に関連するデバイスや省エネルギープロセスが盛んに開発されており,これらの試みには優れた粉体合成の手法やハンドリング技術が強く求められます.そして,このようなエネルギー関連のデバイスや省エネルギープロセスの開発に対する粉体工学の関わりは,今後よりいっそう強くなる事が予想されます.更に,高性能粉体の合成プロセスに対しても,低環境負荷及び省エネルギーという,いわゆるグリーンプロセスが強く求められており,地球環境・エネルギー問題に対する粉体工学の寄与が強く求められています.そこで本特集では,これら地球環境やエネルギー問題に貢献する粉体工学に関連した研究テーマに関して,合成からプロセスに至るまでこの分野の最新技術を幅広く取り上げ,粉体工学の新展開や地球規模での環境問題などへの関わり方について議論したいと考えています.幅広い領域からの講演を募集します.
 
5.粉末積層3D造形技術とHIP/CIP
 樹脂はもとより金属粉末から直接製品を成形する粉末積層造形技術が大きな注目を集めています.粉末製造から装置開発,造形挙動の理解やポストプロセス等,急速に研究領域が広がり,現在では,製造プロセスとしての適用例も多数報告されています.金属粉末積層造形装置の全世界での販売台数は2018年度には2500台に達し,更なる増加が予測されています.
HIP/CIPは高圧を用いた高品質・高性能な材料製作技術として,様々な分野で定着していますが,近年積層造形品への高圧処理に着目した研究成果が発表されており,重要なポストプロセスとして活用されています.
このような背景のもと本特集を企画しました.積層造形およびHIP/CIPに関する研究であれば内容は問いませんので,委員会のメンバーの皆様はもとより,関連する研究者の方々の積極的なご発表ならびにご興味を抱かれている多方面からの聴講を歓迎します.

 

6.バイオインスパイアード材料
 生体は,環境負荷の小さいプロセスによって優れた材料を作りだしています.骨や歯,貝殻などのバイオミネラルに代表されるように,生体の作る材料は,巧みな構造とともに,生体が活動するための優れた機能を持っています.自然界で生体が作る材料の構造や,その構築プロセス,機能発現の機構に啓発を受けて,新しい材料の開発に展開するバイオインスパイアード材料の領域は,生体を模倣した材料や合成プロセスの開拓にとどまらず,生体では達成されない材料技術の創出を目指すものです.
 本特集では,バイオインスパイアード材料の合成や機能に関連した領域での講演発表を募集します.バイオ関連材料だけでなく,生体に着想を得た合成プロセスや高機能材料の開発を進めている多様な研究に関して,議論と意見交換の場にしたく思います.途中段階にある研究や,これまでの研究を総括したものなど幅広い内容を歓迎します.奮ってご参加下さい.

 
7.スマートソサエティを支える高機能電子部品材料
協賛:エレクトロニクス実装学会
 IoT,ビッグデータ,AI,ロボットなどに代表される第4次産業革命は,我々の生活,社会を大きく変えようとしています.国が推進するSociety 5.0(ソサエティ5.0)でも超スマート社会を目指した取り組みが進められています.このような社会を実現するためには,エレクトロニクス機器の高速高性能化,小型化,高信頼化を飛躍的に達成することが求められています.特に,5G(第5世代移動通信システム)に対応したデバイス・材料・部品技術,自動運転のためのセンサーデバイス,レーダ,アンテナ,通信技術,車載用の高信頼耐熱部品材料などの開発が極めて重要です.更に電子機器を実現するための熱・電気・応力設計からマテリアルインフォマティックス材料設計まで含めた統合的な技術開発が必要となっています.
 本特集では,近い将来実現されるスマートソサエティに向けた電子部品材料を対象に周辺技術を含めた特集を企画しました.エレクトロニクス分野の幅広い領域から多くの方々の講演を期待しています.

 
8.次世代自動車開発に向けた粉末冶金製品の新機軸
 粉末冶金(PM)製品の約90%が自動車関連部品に使用されており,粉末冶金用材料および部品製造技術の開発は自動車産業の変化への柔軟かつ迅速な対応が求められています.自動車産業に対する社会的ニーズは,ガソリン自動車の燃費向上および高効率の電気自動車開発による温室効果ガス排出量の削減に加え,人口減少・高齢化に向けた自動運転システム構築など広範囲に及んでいます.これに呼応して,自動車用PM部品分野の開発には,従来の小型軽量化を目指した材料の高強度化に加え,動力の電動化および自動運転技術等に伴って必要となる新規用途に向けたさまざまな機能性材料の提案が期待されています.一方で,既存の自動車用部品のグローバル供給が進んでおり,地域によらない一定水準の部品製造が重要な課題となっています.これらの環境の中で,まさにPM産業は大きな転換期にあると言えましょう.そこで本大会では,「将来の自動車用PM部品開発に向けて重要となりうる新規な材料技術および製造技術」に関する特集を提案します.本特集が会員の皆様方にとって有益な情報交換の場となり,さらに新たな活動に向けた契機となりますよう,多方面からの講演を広く募集します.奮ってのご応募をお待ちします.