[P-ED-19-4] 犬の飼い主が希望する「動物に対する理学療法」の利用条件
キーワード:動物に対する理学療法, 金額, 頻度
【はじめに,目的】
「動物に対する理学療法」は日本の臨床獣医学領域では比較的新しい分野である。「日本動物リハビリテーション学会」が設立されてから8年,「日本動物理学療法研究会」が設立されてから5年しか経過していない。また,日本理学療法士協会内に設立された日本理学療法士学会の下部機関として「動物に対する理学療法部門」も平成27年に設立されたばかりである。しかし,欧米では,ヒトに対する理学療法を参考にして,「動物に対する理学療法」が急速に発展しており,認定理学療法士も存在する。犬の飼い主を対象とした「動物に対する理学療法」の認知度とニーズを調査した先行研究では,認知度は低いが利用希望は多く,利用したくない場合は,「動物に対する理学療法を知らない」,「金額次第」との意見が挙がっていた。そこで,犬の飼い主が希望する「動物に対する理学療法」の利用条件(金額,治療時間,治療頻度)を明らかにすることで,「動物に対する理学療法」が発展していくための一助になるのではないかと考えた。本研究の目的は,犬の飼い主が希望する「動物に対する理学療法」の利用条件について明らかにすることとした。
【方法】
対象は群馬県内のドッグランに訪れた86名の犬の飼い主とした。アンケートは,インタビュー形式にて実施した。アンケートの内容は「動物に対する理学療法を行う頻度はどのくらいがいいか」,「動物に対する理学療法の治療時間はどのくらいがいいか」とした。また,Price Sensitivity Measurement:PSM(価格感度測定)分析を用いて適正価格を算出するため,「いくらぐらいから高いと思うか」,「いくらぐらいから安いと思うか」,「いくらぐらいから高すぎて受けれないと思うか」,「いくらぐらいから安すぎて内容が疑わしいと思うか」の4項目を質問した。アンケート結果の回答を集計し,飼い主が希望する「動物に対する理学療法」の利用条件に注目して統計学的に分析,検討した。
【結果】
治療頻度は,週1回が33名(39.8%)と最も多く,次いで週2回が30名(36.1%),1日おきが8名(9.6%),毎日が5名(6.0%),2週に1回が4名(4.8%),月1回が3名(3.6%)であった。治療時間は,30分が36名(43.4%)と最も多く,次いで20分が22名(26.5%),60分が21名(25.3%),40分が2名(2.4%),10分と50分が1名(1.2%)であった。PSM分析による利用金額の算出では,理想価格が4563.8円,最低品質保証価格(下限価格)が3385.4円,最高価格(上限価格)が5333.3円であった。
【結論】
犬の飼い主が希望する「動物に対する理学療法」の利用条件は,利用頻度は週1~2回の合計が全体の75%以上を占め,治療時間では20~30分が全体の約70%を占め,理想価格は4563.8円であった。したがって,上記の利用条件が「動物に対する理学療法」を実施する上で一つの指標になるのではないかと考えられた。
「動物に対する理学療法」は日本の臨床獣医学領域では比較的新しい分野である。「日本動物リハビリテーション学会」が設立されてから8年,「日本動物理学療法研究会」が設立されてから5年しか経過していない。また,日本理学療法士協会内に設立された日本理学療法士学会の下部機関として「動物に対する理学療法部門」も平成27年に設立されたばかりである。しかし,欧米では,ヒトに対する理学療法を参考にして,「動物に対する理学療法」が急速に発展しており,認定理学療法士も存在する。犬の飼い主を対象とした「動物に対する理学療法」の認知度とニーズを調査した先行研究では,認知度は低いが利用希望は多く,利用したくない場合は,「動物に対する理学療法を知らない」,「金額次第」との意見が挙がっていた。そこで,犬の飼い主が希望する「動物に対する理学療法」の利用条件(金額,治療時間,治療頻度)を明らかにすることで,「動物に対する理学療法」が発展していくための一助になるのではないかと考えた。本研究の目的は,犬の飼い主が希望する「動物に対する理学療法」の利用条件について明らかにすることとした。
【方法】
対象は群馬県内のドッグランに訪れた86名の犬の飼い主とした。アンケートは,インタビュー形式にて実施した。アンケートの内容は「動物に対する理学療法を行う頻度はどのくらいがいいか」,「動物に対する理学療法の治療時間はどのくらいがいいか」とした。また,Price Sensitivity Measurement:PSM(価格感度測定)分析を用いて適正価格を算出するため,「いくらぐらいから高いと思うか」,「いくらぐらいから安いと思うか」,「いくらぐらいから高すぎて受けれないと思うか」,「いくらぐらいから安すぎて内容が疑わしいと思うか」の4項目を質問した。アンケート結果の回答を集計し,飼い主が希望する「動物に対する理学療法」の利用条件に注目して統計学的に分析,検討した。
【結果】
治療頻度は,週1回が33名(39.8%)と最も多く,次いで週2回が30名(36.1%),1日おきが8名(9.6%),毎日が5名(6.0%),2週に1回が4名(4.8%),月1回が3名(3.6%)であった。治療時間は,30分が36名(43.4%)と最も多く,次いで20分が22名(26.5%),60分が21名(25.3%),40分が2名(2.4%),10分と50分が1名(1.2%)であった。PSM分析による利用金額の算出では,理想価格が4563.8円,最低品質保証価格(下限価格)が3385.4円,最高価格(上限価格)が5333.3円であった。
【結論】
犬の飼い主が希望する「動物に対する理学療法」の利用条件は,利用頻度は週1~2回の合計が全体の75%以上を占め,治療時間では20~30分が全体の約70%を占め,理想価格は4563.8円であった。したがって,上記の利用条件が「動物に対する理学療法」を実施する上で一つの指標になるのではないかと考えられた。