第52回日本理学療法学術大会

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[P-YB-21] ポスター(予防)P21

2017年5月14日(日) 11:40 〜 12:40 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本予防理学療法学会

[P-YB-21-2] 女子大学生における月経前症候群と部活の有無による身体活動量の関連について

島 香織1, 田代 雄斗2, 田坂 精志朗2, 鈴木 祐介2, 松下 智史2, 松原 慶昌2, 川越 美嶺2, 園田 拓也2, 中山 恭章2, 横田 有紀2, 青山 朋樹2 (1.京都大学医学部人間健康科学科, 2.京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻)

キーワード:月経前症候群, 身体活動, 女子大学生

【はじめに・目的】

月経前症候群(以下PMS)とは,月経前3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で,月経発来とともに減退ないしは消失するものを特徴とする。先行研究によると,30代に比べて20代のPMSの発症頻度が高いと言われており,女子大学生のPMS症状において日常生活習慣の関連についての報告もみられるが,女子大学生のPMS症状の程度と身体活動量を運動部への所属の有無を踏まえて報告しているものはない。そこで本研究の目的は,女子大学生の運動部への所属と身体活動量がPMSに与える影響について検討することとした。




【方法】

研究対象は運動部に所属している女子大学生(以下,所属群)240名と,運動部に所属していない女子大学生(以下,非所属群)195名の合計435名で,解析対象は月経周期が不規則な者やPMS症状に影響する既往歴をもつ者,欠損値を除外した381名(所属群211名,非所属群170名)とした。調査方法は内容が同じ質問紙とwebアンケートの2つを使用し,年齢(20.5±1.2歳),月経周期,PMS症状,身体活動量を聴取した。

PMS症状の評価は,米国産婦人科学会の診断基準10項目(身体症状4項目,精神症状6項目)に,先行研究を基に身体症状6項目(下腹部の痛み,食欲亢進,疲労感,腰痛,眠気,ニキビ)と精神症状2項目(集中力がなくなる,やる気がなくなる)を加えた合計18項目を点数化し(症状なし:0点,症状はあるが生活に支障はない:1点,生活に支障あり:2点),その合計を算出した。

また,身体活動量の指標には国際標準化身体活動質問票(IPAQ)Short Version日本語版を用い,運動強度が強い身体活動,中等度の身体活動,歩行,不活動(座位や睡眠以外の臥位)のそれぞれ活動量(METs)から,個人の体型を考慮した活動量(kcal)を算出し,さらに1日当たりの合計身体活動量(kcal-minutes/日)を算出した。

統計処理は,所属群・非所属群におけるPMS症状18項目の比較については対応のないt検定,また両群におけるIPACの運動強度別の比較はSpearmanの順位相関分析を用い,有意水準は5%未満とした。




【結果】

解析の結果,非所属群においてPMS18項目の合計点が有意に高かった(所属群8.1±6.6点,非所属群10.0.±7.1点,p=.009)。

また,非所属群は,PMS症状18項目のうち,身体症状10項目の合計点とIPACの中等度の身体活動量に負の相関(p=.037,r=-.161)がみられ,不活動の時間と正の相関(p=.038,r=.159)がみられた。一方,IPACの1日の合計身体活動量とPMS症状18項目との関連は見られなかった。




【結論】

本研究の結果,非所属群の方が所属群に比べてPMS症状が生じやすく,その中でも身体活動を詳細に検討した結果,運動強度が中等度(IPACでは4METsの運動強度としており,家事や階段の昇り降りが含まれている)の身体活動量が多いほどPMS症状のうち身体症状が減少し,一方で不活動量が多いと身体症状が増加することが明らかとなった。