第27回近畿臨床工学会

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座長:小笹 真(第二富田クリニック 臨床工学科)、椋本 匡俊(第二大阪警察病院 医療技術部 臨床工学科)

[13-02] 離島医療の問題点

*梅澤 俊明1 (1. 喜界徳洲会病院臨床工学科)

【はじめに】
喜界島は鹿児島県本土から南に380km、奄美大島から東に25kmの位置にあり、人口約7,000人のサンゴ礁が隆起してできた島である。美しく自然が豊かな島である反面、自然が原因となる問題も多く発生する。今回、離島地域における臨床工学技士(以下CE)業務の問題点について報告する。
【問題点】
1.医療機材の供給体制および人員の確保困難
医療機材は発送から到着までに3日ほどかかる。悪天候の場合は1週間ほど届かないこともあるため、十分な在庫を確保するなど在庫管理もCEの重要な業務となる。今後はタブレットを活用し業務の効率化を図りたい。また人員もすぐには移動できず、島内にはメーカーも常駐していないことから、医療機器に故障が発生した場合は対応が後手になってしまう。
2.自然の影響
喜界島は台風の通り道にあり、強風で長時間の停電が発生することもあるため、医療機器のバッテリー残量を把握しておく必要がある。また、停電時は施設全体の空調も止まってしまうことから、湿度が上昇し医療機器の基盤に結露ができショートを起こす可能性がある。そのため、使用予定のない機器類はブレーカーを落として対応している。台風の際には、節水協力依頼が出されるため透析時間の調整など臨機応変な対応が求められる。
3.急性期医療や幅広い業務経験が積みにくい環境
重症患者は島外へ搬送されるため、除細動器や人工呼吸器などを使用する機会が少ないことから、人材教育が進まない状況がある。今後はグループ施設のメリットである研修制度を積極的に活用し、人材育成にも取り組んでいく。
【まとめ】
離島特有の環境により、CEの業務内容も都市部とは異なる部分が多いと思われる。機材・人員の不足は、自然災害においてより影響が大きくなってしまう。その対応も島内常勤者の力量に左右されることから、「命を支えるエンジニア」として医療機器だけでなく、電気や水道を含めた病院設備管理にも対応していきたい。