非鉄金属製錬業における課題と解決に向けた取り組み

[1K0401-07-03] Cu₂S融体の非接触熱物性測定

○安達 正芳¹、後藤 宏基¹、大塚 誠¹、高橋 純一²、福山 博之¹ (1. 東北大学、2. 住友金属鉱山株式会社)

キーワード：浮遊法

銅製錬の熔錬において，銅鉱石は主にCu₂S融体から構成されるマットとFeO-SiO₂系スラグに沈降分離される．この工程において，粒径の小さいマット液滴がスラグ中に懸垂して残留し，マットの収率が低下するスラグロスが長年の課題となっている．スラグ中のマット液滴の沈降現象は，マット及びスラグ融体の熱物性により支配されるため，マットの沈降現象を理解するにはマット及びスラグ融体の熱物性値が不可欠である．これまでにも，マット成分の融体の熱物性測定について幾つかの報告がある．例えば，マット成分の密度および表面張力が静滴法および最大方圧法により測定されている．しかしながら，両者の値には大きな差がある．特に表面張力に関しては，両者の温度依存性が異なっており，値も10 %程度の差がある．筆者らはこれまで，非接触法による金属性高温融体の高精度熱物性測定の研究を行ってきた．本研究では，銅ロス現象及びマットの熱物性に関する従来の研究をレビューするとともに，非接触法を用いCu₂S融体の熱物性を測定する．