資源・素材2024(秋田)

講演情報(2024年8月7日付 確定版)

企画講演

【企画講演】学会長期テーマプロジェクト-第2期のスタートアップと第1期のフォローアップ [9/12(木) PM 第5会場]

2024年9月12日(木) 13:00 〜 17:00 第5会場 (一般教育2号館 3F 301) (一般教育2号館 3F 301)

司会:小池 克明(京都大学)

●日本鉱業振興会の助成により学会長期テーマプロジェクトが第1期から継続され,厳正な審査を経て2024年3月に7件の第2期課題が採択された。統括リーダーから第2期の趣旨説明に引き続き,スタートアップした各採択課題の研究内容や目指すところなどを発表いただく。また,第1期の7課題のフォローアップとして,各課題の研究成果の総括やその後の発展などを発表いただく。

<発表:10分中、講演10分、質疑応答は最後にまとめて「総括・討論」で行う/1件><発表:20分中、講演15分、質疑応答5分/1件>

15:05 〜 15:25

[3507-19-07] 「固体王水」の水平展開によるレアメタルの新規リサイクル手法の開発

○吉村 彰大1 (1. 千葉大学)

司会:小池 克明(京都大学)

キーワード:リサイクル、レアメタル、溶融塩、固体王水

タングステンやタンタルなどに代表されるレアメタルは、鉄や銅などのベースメタルと比較すると需要量は大幅に少ない。一方で、高い融点や強度、また誘電率など特異的な性質を持つことから、先端技術などには欠かせない素材として重要な役割を占める。また、産出地域が極端に偏在していることや、生産量自体も小さいことから、需給上のリスクが大きい素材でもある。このようなレアメタルの安定的な供給には、積極的なリサイクルが大きな役割を果たす。一方で、従来のリサイクル法は、極めて高い温度での処理や大量の薬品による溶解など、環境負荷やコスト面での課題が多く存在する。
そこで本研究では、研究代表者がこれまでに開発してきた「固体王水」を応用する。この固体王水は塩化鉄(III)を主体とする複合溶融塩のことを指し、500 ℃未満で溶融塩化すること、また塩化鉄が極めて強い塩化能を持つことから、従来のプロセスよりも大幅に低い温度、かつ穏和な条件での直接的な処理が可能となる。これまでに、処理が難しいとされる様々な白金族金属(PGMs)への適用が確認されており、本研究ではこれを、タングステンやタンタルのような特に溶解しづらいとされるレアメタルの処理に応用する。本発表では、これまでに得られた知見を紹介するとともに、今後の展望について紹介する。