第33回大阪府理学療法学術大会

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Web Poster

[P-15] P-15

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:P-15 (webポスター会場)

座長:本田 寛人(四條畷学園大学)

[P-15-03] 多職種での介入によって再入院を予防できたフレイルを伴う心不全患者の一例

*野村 知里1、吉本 咲希1、豊浦 尊真1、上坂 建太1、本田 憲胤1、大洞 佳代子1 (1. 公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院)

【症例紹介】78歳男性、BMI:19.5kg/m2、未治療の糖尿病と強迫性障害があり、20年以上自宅内で過ごされていた患者。1週間前より起座呼吸出現、2日前から呼吸困難感が増強し、当院緊急搬送され、うっ血性心不全で入院となった。入院時所見は、クリニカルシナリオ分類:2、BNP:1821.9pg/mlであった。入院後、利尿薬および強心薬の持続投与開始。第8病日に利尿薬、第14病日に強心薬の持続投与が終了。その後CAG施行され、第25病日と第31病日にPCI施行(#1;慢性完全閉塞病変→0%、#7;90%→0%)。第38病日に自宅退院、第42病日より当院訪問リハビリテーション(訪問リハ)を開始した。【評価とリーズニング】退院時の心エコー所見では、左室駆出率(LVEF):23%と低左心機能を呈しており、BNP:285.8pg/mlと入院時より低下。初回訪問時はBarthel Index(BI):75点とADL低下あり。基本チェックリスト(KCL):18点とフレイルの状態であった。理学所見は下腿周径(右/左):27.5/27.5cm、握力(右/左):14.3/12.9kg、SPPB得点:5点とサルコペニアを呈していた。抑うつ指標であるGDS-5:5点と高値。また強迫性障害により定期受診は困難であった。本症例において、ADLが低く、フレイルを呈していたことから、日常生活レベルにおいても過負荷となる可能性があると考えられた。また心不全の再入院は、塩分・水分制限の不徹底、過労、服薬非遵守が誘因であることが報告されている。本症例は初回心不全症例であり、退院後の疾病管理の継続指導が必要であると考えられた。【介入と結果】訪問リハは週に2回、40分の介入を行い、訪問看護では服薬管理と入浴介助、心不全および糖尿病管理目的に往診医が導入となった。日常生活動作が過負荷とならないよう動作指導や環境調整を行い、ADL改善のために基本動作練習、歩行練習、レジスタンストレーニングを実施した。運動処方では、自覚的運動強度を指標にした。また食事は毎日記録してもらい、当院で採用されている心不全ノートと照らし合わせて妻にも指導を行った。訪問リハ開始から5ヶ月後にはBNPは65.5pg/mlで退院時よりさらに低下し、LVEFは37%と改善傾向であった。BIは90点まで改善したが、フレイル指標であるKCLは17点と改善を認めなかった。握力(右/左):14.9/16.7kg、SPPB:7点と身体機能は改善傾向であった。GDS-5:3点であり、抑うつの増悪は認めらなかった。本症例は強迫性障害の影響により、外出は訪問リハと外来受診時のみと限定的であり、フレイルが改善しにくかったと考えられる。しかし身体機能の改善や疾病管理の指導により再入院は予防できており、多職種による介入を行うことが重要だと考えらえた。【結論】フレイルを伴う心不全患者の退院後の再入院予防は、多職種で心不全管理を行なっていうことが重要だと考えられる。【倫理的配慮、説明と同意】症例には本報告の目的や方法に関して十分に説明し、同意を得た。

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