第33回大阪府理学療法学術大会

講演情報

Webポスター

[P-2] 脳損傷②(回復期)P-2

2021年7月11日(日) 08:45 〜 15:30 Web Poster:P-2 (webポスター会場)

座長:木下 篤(さくら会病院)

[P-2-05] 右広範囲脳梗塞により重度運動麻痺・感覚障害を呈した症例
〜3食車椅子座位での食事摂取自立に向けて〜

*大橋 飛翔1、近藤 颯人1、桑原 朋之1、吉川 創1 (1. わかくさ竜間リハビリテーション病院)

【症例紹介】 年齢50代後半,男性,身長175cm,体重78kg.現病歴は,2019年9月,全身硬直性痙攣を認め救急搬送.第 7病日にCTにて右前頭葉,側頭葉,後頭葉に脳梗塞を認め,右広範囲脳梗塞と診断.脳浮腫著明な為,第 8病日に外減圧術施行.第53病日に頭蓋形成術予定も膿瘍認め中止となり,頭蓋欠損状態で第67病日 にリハビリ目的で当院回復期病棟へ転院.
【評価とリーズニング】
JCS II-10.左上下肢Brunnstrom recovery stage上肢II手指I下肢II,体幹筋MMTは2レベル,非麻痺 側GMT4レベル,基本動作は起居~移乗全介助で重度感覚障害,注意障害,左半側空間無視を認めた. 端座位では,Pusher症状を認め,麻痺側の坐骨・足底からの荷重感覚入力低下,重度感覚障害・身体 失認によるbody-imageの崩れ,左半側空間無視により,正中位認識が欠如していた事が影響してい ると考えた.さらに,重度運動麻痺による左右の筋緊張の不均衡,体幹筋の筋出力低下により,麻痺側 前方へ倒れ込みを認め重度介助を要した.移乗動作は,Pusher症状及び,両下肢の支持性低下,高次脳 機能障害による指示理解,状況理解低下により2人介助を要した.
【介入と結果】 第68病日より,車椅子離床定着を目指し介入を開始.介入当初,覚醒・全身状態不安定によりベッ ドギャッチでの全身調整から,寝返り練習による非麻痺側への体性感覚入力を中心に行った.全身状 態安定後,車椅子離床,tilt立位,長下肢装具着用下で立位練習を行い,両下肢から荷重感覚の入力を実 施.さらに,積極的に長下肢装具を用いた立位,歩行練習が実施可能となった.これらの介入の結 果,JCS I-1,体幹筋MMTは2+レベルとなった.また,Pusher症状の軽減,体幹筋の筋出力向上,左下肢 運動麻痺の改善を認め,端座位軽介助,移乗動作時の非麻痺側支持,協力動作が増大し,介助量は1人介 助で中等度となり能力改善を認めた.第203病日に頭蓋形成術施行の為転院,第222病日に帰院後,指 示理解の向上を認めた為,起立,立位,移乗動作の反復練習が可能となった結果,基本動作の介助量が 軽減し,3食食事時の車椅子離床に繋げることができた.
【結論】 藤野らはPusher症状には視覚的垂直認知と身体的垂直認知の差異が関与する事を示唆してお り,Pusher症状に対する治療として,体性感覚入力や視覚垂直を付与することが重要であると報告 している.今回,体性・荷重感覚入力を意識し,立位,歩行練習を実施した事で,自己身体認識,正中位認 識が向上しPusher症状の軽減,身体機能向上を認めたと考える.頭蓋形成後にも積極的に立位,歩行 練習移乗練習を反復し動作学習を進めた事で、移乗時の協力動作の増大,介助量の軽減を図ること ができた.その為,当初の目標であった,病棟内生活で3食食事時の車椅子離床下での食事自力摂取にt 繋げる事が出来たと考えた.
【 倫理的配慮、説明と同意 】 発表にあたり,本人,家族には内容と意義について十分に説明し同意を得た.

要旨・抄録、PDFの閲覧には参加者用アカウントでのログインが必要です。参加者ログイン後に閲覧・ダウンロードできます。
» 参加者用ログイン