15:15 〜 15:30
[SO-04-1] 足部柔軟性が膝関節アライメントに与える影響 【卒業研究】
キーワード:扁平足、knee-in
【背景と目的】多くの先行研究では,knee-inの発生要因は扁平足が関与しているとされている.扁平足の有無は静止立位時のアーチ高率で判断しているものが多いが,運動中で足部に荷重がかかった状態でのアーチの変化を考慮したものは散見されない.本研究では,非荷重位・荷重位のアーチ変化量を評価し,アーチ変化量が膝関節アライメントに及ぼす影響について検証した.
【方法】対象者は下肢に病的機能障害のない藍野大学に在籍中の学生20名(年齢21~22歳)とした.非荷重位のアーチ高率は,椅子座位で股関節屈曲90°,膝関節屈曲90°,足関節底背屈0°で体重がかからない肢位で計測した.荷重位のアーチ高率は,身長の40%のステップ幅で,前足に体重の60%荷重したフォワードランジ肢位で計測した.アーチ高率は大久保らの測定法に基づき算出した.またフォワードランジ位の前額面上で第一趾と膝蓋骨中央を結ぶ線と第一趾と大転子を結ぶ線がなす角度をknee-in角度と規定し計測した.そして①非荷重位のアーチ高率とknee-in角度②荷重位のアーチ高率とknee-in角度の関係をPiersonの相関係数を用いて検討した.
次に非荷重位から荷重位のアーチ高率を引いた値をアーチ高率の変化量とし③アーチ高率の変化量とknee-in角度の関係をPiersonの相関係数を用いて検討した.最後に変化量の平均値を算出し,平均値以上を柔軟性が高い群(11名)として,インソール(SORBO FOOTCARE)を挿入し,④インソール挿入前後のknee-in角度の比較を対応のあるt検定を用いて検討した.有意水準は5%未満とした.
【結果】①非荷重位のアーチ高率の平均は17.38 ± 2.57%,knee-in角度は8.84 ± 2.42°であり,アーチ高率とknee-in角度の相関係数は(r) = -0.11,p = 0.65となり,相関関係は認めなかった.②荷重位のアーチ高率は4.51 ± 3.20%,knee-in角度との相関係数は (r) = -0.34,p = 0.14となり,相関関係は認めなかった.③アーチ高率の変化量は2.87 ± 1.70%,アーチ高率の変化量とknee-in角度との相関係数は(r) = 0.48,p < 0.05となり,中程度の相関関係を認めた.④柔軟性が高い群のインソール挿入前のknee-in角度は9.74 ± 1.98°,挿入後のknee-in角度は8.29 ± 2.39°であり,挿入前に比べ挿入後はknee-in角度は有意に低下した(p < 0.05).
【結論】先行研究では膝関節のスポーツ障害の原因に扁平足が挙げられているが,扁平足の有無ではなく足部柔軟性に着目する必要があると考えた.結果①②③が示すように,単にアーチの高低ではknee-in角度との関係性は認めず,アーチ高率の変化量(柔軟性)とknee-in角度の関係性が認められた.この結果から,扁平足の有無ではなくアーチの柔軟性の有無がknee-in角度と関係があると考えられた.また柔軟性の高い足部にインソールを挿入した結果,有意にknee-in角度が改善した.以上の結果から重要なのは足部柔軟性であり,アーチ高率の変化量がknee-in角度に影響していることが明らかになった.
【方法】対象者は下肢に病的機能障害のない藍野大学に在籍中の学生20名(年齢21~22歳)とした.非荷重位のアーチ高率は,椅子座位で股関節屈曲90°,膝関節屈曲90°,足関節底背屈0°で体重がかからない肢位で計測した.荷重位のアーチ高率は,身長の40%のステップ幅で,前足に体重の60%荷重したフォワードランジ肢位で計測した.アーチ高率は大久保らの測定法に基づき算出した.またフォワードランジ位の前額面上で第一趾と膝蓋骨中央を結ぶ線と第一趾と大転子を結ぶ線がなす角度をknee-in角度と規定し計測した.そして①非荷重位のアーチ高率とknee-in角度②荷重位のアーチ高率とknee-in角度の関係をPiersonの相関係数を用いて検討した.
次に非荷重位から荷重位のアーチ高率を引いた値をアーチ高率の変化量とし③アーチ高率の変化量とknee-in角度の関係をPiersonの相関係数を用いて検討した.最後に変化量の平均値を算出し,平均値以上を柔軟性が高い群(11名)として,インソール(SORBO FOOTCARE)を挿入し,④インソール挿入前後のknee-in角度の比較を対応のあるt検定を用いて検討した.有意水準は5%未満とした.
【結果】①非荷重位のアーチ高率の平均は17.38 ± 2.57%,knee-in角度は8.84 ± 2.42°であり,アーチ高率とknee-in角度の相関係数は(r) = -0.11,p = 0.65となり,相関関係は認めなかった.②荷重位のアーチ高率は4.51 ± 3.20%,knee-in角度との相関係数は (r) = -0.34,p = 0.14となり,相関関係は認めなかった.③アーチ高率の変化量は2.87 ± 1.70%,アーチ高率の変化量とknee-in角度との相関係数は(r) = 0.48,p < 0.05となり,中程度の相関関係を認めた.④柔軟性が高い群のインソール挿入前のknee-in角度は9.74 ± 1.98°,挿入後のknee-in角度は8.29 ± 2.39°であり,挿入前に比べ挿入後はknee-in角度は有意に低下した(p < 0.05).
【結論】先行研究では膝関節のスポーツ障害の原因に扁平足が挙げられているが,扁平足の有無ではなく足部柔軟性に着目する必要があると考えた.結果①②③が示すように,単にアーチの高低ではknee-in角度との関係性は認めず,アーチ高率の変化量(柔軟性)とknee-in角度の関係性が認められた.この結果から,扁平足の有無ではなくアーチの柔軟性の有無がknee-in角度と関係があると考えられた.また柔軟性の高い足部にインソールを挿入した結果,有意にknee-in角度が改善した.以上の結果から重要なのは足部柔軟性であり,アーチ高率の変化量がknee-in角度に影響していることが明らかになった.