第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

ランチョンセミナー

ランチョンセミナー4

2023年10月8日(日) 11:40 〜 12:40 第4会場 (2号館2階 会議室224)

座長:林 秀樹(岐阜薬科大学 地域医療実践薬学研究室 教授)

共催:アストラゼネカ㈱

[LS4-1] コロナ禍の変化を踏まえた高齢者糖尿病患者への栄養指導のポイント

幣 憲一郎1,2 (1.武庫川女子大学 食物栄養科学部 教授, 2.京都大学医学部附属病院 疾患栄養治療部 副部長)

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 世界的にみて、糖尿病患者の高齢化の問題は日本における大きな特徴の一つである。さらに、コロナ禍により糖尿病患者の(食)生活環境も大きく変化しており、本セミナーでは、高齢糖尿病患者への栄養指導のポイントとして、大きく4つのポイントをお示ししたい。
 まず、第1のポイントとしては、「栄養不良の二重負荷」を回避するとの視点から、年代に応じた栄養管理ポイントのギアチェンジが求められる。特に「高齢者に起こり得る栄養不良のリスク」を社会的要因、精神・心理的要因、疾病要因の3方向から把握しておくことは、サルコペニアやフレイル(オーラルフレイルを含む)対策には必要不可欠な視点となる。第2のポイントとしては、その問題点や課題を客観的に把握するために、InBody®やロコモスキャン®、EAT-10などを用いた患者個々に応じた身体評価・栄養(嚥下機能)評価を行うことであり、その活用の方法・考え方について情報共有できればと考えている。そして、第3のポイントとしては、高齢糖尿病患者に不足しがちな各種栄養素の補給(カリウム管理を含む)を行いながら、どのように血糖管理に結び付く食べ方や量を栄養・食事療法時に提案すれば良いのかについて、必要エネルギー量の設定に関する留意点、必要たんぱく質量の設定に関する留意点などについても考えてみたい。第4のポイントとしては、高齢者糖尿病患者にとって、この提案した食事療法は長期にわたって実施できるのかという視点を持ち、単なるエネルギー管理や血糖管理の視点だけではなく、将来的に危惧される合併症にも総合的に対応できるように個別管理することが重要であると考えており、コロナ感染症の流行に伴う重症化を恐れ来院を控えた高齢糖尿病患者の現状や継続的な支援体制(新たな栄養・食事指導環境)の構築が望まれることについて話題提供できればと考えている。