第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:00 PM - 2:40 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-059-B] 保険薬局における外国人患者への外国語での服薬指導による服薬アドヒアランスの向上-中国人患者のケース

吉川 香花, 磯部 紀子, 木場谷 範子 ((株)田無薬品 田無本町調剤薬局)

【目的】
保険薬局における外国人とりわけ在留数が最多となる中国人患者への中国語による服薬指導の重要性を検証する。
【方法】
2022年4月から2023年3月までに来局した中国人患者42名を対象とした。初回来局時に日本語の理解度を確認し、中国語による聞き取り・服薬指導の必要度、処方内容、疑義照会内容を検討した。また患者にかかりつけ薬剤師制度を紹介し患者にとっての必要性も確認した。
【結果】
中国人患者42名の内、日本語をほぼ話すことができず中国語による聞き取り・服薬指導が必要な患者6名、日本語では理解不十分で中国語の補足説明が必要だった患者9名、日本語コミュニケーションが可能だった患者27名だった。日本語表記では理解不十分な患者に薬袋等へ中国語で薬効・用法用量等の説明を追記した件数は24件だった。処方内容に禁忌薬が含まれたもの2件、希望する薬剤・剤型が処方されなかったもの6件、併用重複が1件で、いずれも中国語による聞き取りで判明した症例であった。全9件につきすべて疑義照会し処方変更になった。かかりつけ薬剤師を希望した患者は6名で全例が中国語のみでの対応だった。かかりつけではないが極力筆者対応している患者が9例(日本語併用)である。
【考察】
日本語の理解度、文化の違いなどで医師に正確な情報を伝えられず、不適切な処方薬をそのまま投薬することは危険である。患者にとって母国語での聞き取り・服薬指導は処方意図、薬の使用方法、副作用などが正しく理解でき、医療に対する信頼を高め服薬アドヒアランスの向上に寄与できると考えられた。現在、国や自治体、製薬企業による多言語服薬指導ツールが作成されてはいるが、患者個々の心配ごとや疑問の解決、理解度の確認には十分に対応できていない。年々増加している在留外国人を孤立させず、医療サービスを通して街の輪を繋ぐため、母国語による服薬指導は益々重要になると考えられた。