第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2023年10月9日(月) 14:50 〜 15:30 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-105-C] 情報聴取困難な患者の漫然投与解消 ~トレーシングレポートにより3種類の減薬につながった一例~

西澤 卓 (ウエルシア薬局(株)沼津カタクラパーク店)

【目的】
ポリファーマシーが形成される典型的な例として、多病による複数医療機関の受診がある。また、処方の見直しと効果判定などが解消につながるとされている。しかし、薬局での情報聴取が難しい患者においては効果判定ができないケースがある。今回このような患者で、鎮痛薬の漫然投与の可能性を考え、内服薬が6剤から3剤減薬となった症例があったため報告する。
【患者背景】
80代、女性。高血圧、皮膚掻痒症、右肩腱板断裂・変形性膝関節症にて内科、皮膚科、整形外科に通院中。受診は本人のみだが、来局は家族のみ。家族は受診時に医師からの説明や指示を患者本人から聞かずに来局されるため情報聴取に難渋していた。
【経過】
X-1年,整形外科からデュロキセチン,セレコキシブ,レバミピドが処方。その数か月後、家族から疼痛の改善がないと訴えあり。お薬手帳や電話で本人との会話を試みるが聴取できなかった。X年、家族より症状の改善がないことについて強く訴えがあったため、本人も来局するよう依頼。本人より疼痛については服薬開始前と開始後で変化がないこと、服薬開始前からではあるが傾眠と下肢浮腫を確認。トレーシングレポートと減薬の希望あり。整形外科に症状変化がないことと傾眠、浮腫について報告。内服薬は中止して、リハビリ経過観察となった。中止後も疼痛の悪化はなかった。
【考察】
本人と会話することにより症状の程度や意思・希望などの情報を聴取することができたため減薬に繋がった。継続的に患者の様子を確認しようとする姿勢が家族からの相談につながった可能性も考える。現在はオンライン服薬指導や電話での服薬フォローアップにより来局しなくてもコミュニケーションがとれる方法がある。こういった手段を上手く機能させることができれば、情報聴取も容易になり漫然投与解消やポリファーマシー解消につながっていくのではないかと考える。