第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2023年10月9日(月) 14:50 〜 15:30 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-210-C] 服薬情報提供に対する若手薬剤師の意識調査と実例付き手引きの効果

廣岡 伸康1, 古谷 真義2, 銭田 佳奈3, 大谷 彩4, 松宮 誠5 (1.(株)育星会 カイセイ薬局 ドーム前店, 2.須磨店, 3.扇町店, 4.カイセイ吉矢薬局, 5.尼崎店)

【目的】
近年、医療における他職種連携が重要視されており、薬剤師は医師に対して服薬情報提供文書をもって患者の利益となるよう連携することが期待されている。しかし、実際は思うように提出できず、特に若手薬剤師にその傾向が強く見られる。今回、妨げになっている要因を調査し、若手薬剤師でも情報提供ができるよう手引きを作成し、それを活用することで、どのような変化が現れるか調査した。
【方法】
令和4年9月に実務経験5年以下の薬剤師30名を対象に服薬情報提供に対する苦手意識についてアンケート調査を行った。出来ない理由で最も多かったのは「どのような事例で情報提供をすれば良いか分からない」で66.7%であった。その結果を踏まえ、情報提供書作成時のポイントや注意点、実例を用いた手引きを作成し、令和5年1月より3か月間運用した。導入による苦手意識の軽減や件数の変化について調査するため、4月に件数集計及びアンケート調査を行った。
【結果】
手引きの使用後、23名からアンケート回答を得た。10名(43.5%)が「苦手意識が軽減した」と回答し、「報告内容がイメージしやすくなった」という理由が65.2%と最も多かった。情報提供件数は手引き導入前の2022年12月と導入後の2023年3月を比べ、苦手意識が軽減した薬剤師で平均1.88件増え、10名(43.5%)の薬剤師で1件以上情報提供件数が増えた。一方で、情報提供数が増えていない理由には「報告すべき事例に出会えないという回答が66.7%あった。
【考察】
苦手意識をもつ最も多い理由から報告すべき事項の知識不足が考えられる。実例付き手引きの導入により、情報提供件数が増加したことから、苦手意識が軽減することで情報提供へのハードルが下がり、意欲的に取り組めるようになったと考えられる。今後も社内で事例共有を行うなど機会を設け、積極的に服薬情報提供を実施する事で医師との連携を深め、患者の治療に貢献できるよう努めたい。