[3P-67] Correlation between aggregate formation and function of the tumor suppressor protein p53
がん抑制タンパク質p53は、がんの半数以上でp53に変異が見られることからも、p53が機能を保持することはがん化を抑制する上で重要である。p53は転写活性化ドメイン、DNA結合ドメイン (DBD)、四量体化ドメインから構成され、DBDに変異のホットスポットが集中している。これまでに野生型p53の DBDは凝集すること、またホットスポット変異により凝集性が上昇することが報告されている。さらに凝集体を形成する際、機能を有する野生型p53を凝集体内へ取り込むことによって機能を喪失させる説が提唱されている。しかし、p53が凝集しフリーのp53の機能を喪失していくならば、ほとんどのp53は機能できないこととなる。そこで本研究では、p53の凝集と機能喪失は同時に生じるわけではないと考え、別々に検出することで、p53が機能喪失するタイミングを解明することが目的である。測定に用いたp53のDBDは、大腸菌発現系にて発現させ精製した。DNA結合性はp53結合配列を組み込んだDNAを用いたゲルシフトアッセイにて、凝集性はチオフラビンTおよび8,1-ANS添加時の蛍光を蛍光光度計にてモニターすることにより評価した。加えて、蛍光顕微鏡により凝集体の形状を観察した。種々の実験により、これまで提唱されてきた機能性p53の凝集体への取り込みによる機能喪失に反し、凝集体形成環境下においてもp53が機能を保持しうることを見出した。本発表ではさらに、p53の機能保持による抗がん作用を見据え、p53の凝集体形成とDNA結合能との関係性について考察する。