第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ワークショップ

[WS10] 細胞内機能を支配するタンパク質分子機能の多様性・特異性・協調性の動的制御機構   ――― 動的・アロステリック制御による細胞生命学理解の深化 ―――

2021年6月18日(金) 09:45 〜 12:15 チャンネル3

オーガナイザー:米澤 康滋(近畿大学)、土屋 裕子(産業技術総合研究所)

11:50 〜 12:15

[WS10-06] 計算科学シミュレーションを用いたタンパク質及びタンパク質複合体の動的相関解析の困難と新たな試み

米澤 康滋 (近大・先端研)

分子動力学シミュレーションは時間的に変動するタンパク質等の生体高分子の動的振舞いを原子レベルの高精度で観測できる生命科学に於いて実験を補佐する重要な手法として著しく発展している。近年、生体高分子の協同的な構造変化が分子内及び分子間の情報伝達に重要な役割を果たしている事例が数多く報告され大きな注目を集めている。さらに最近は、小分子結合やタンパク質間相互作用等による、大きな構造変化を伴わない、分子ゆらぎの動的性質変化が離れた分子内部位及び分子間で情報を伝え活性制御に関わるとするダイナミックアロステリー(Cooper, Dryden. EurBiophys J. 1984)が注目を集め実験理論共に精力的な研究が進められている。分子シミュレーションはこの解明に中心的な役割を果たすことが期待されている。一方、分子シミュレーションから得られるデータを解析する手法は未だに主成分解析法(PCA)やDCCMが主流であるがタンパク質のアロステリック効果に関する特徴解析には満足な解を与えていないように思われる。本講演では従来の分子シミュレーション解析法の弱点を解説しその解決への試みについて報告し議論を頂きたい。