17:00 〜 18:30
[S06P-01] オントンジャワ海台における地震波アレイ解析:地震波干渉法による予備的解析
オントンジャワ海台は白亜紀に形成された巨大海台であり,地球史上最大規模の火成活動の結果である.しかし,海台直上での地球物理的観測データが存在しないために,火成活動の原因や海台下のマントル構造は未解明なままである.陸上観測点データを用いたマントルの地震波速度構造解析は,複数の先行研究によって行われているが(e.g., Richardson et al., 2000; Covellone et al., 2015),観測点分布の限界から,いずれも地殻から最上部マントルに至る浅部構造の詳細は得られていない.オントンジャワ海台の形成プロセスおよび直下のマントル構造を解明するために,2014年末から2016年にかけて広帯域海底地震計(BBOBS)および海底電位差磁力計を用いた大規模な海底地球物理観測が行われた(Suetsugu et al., 2018; Tonegawa et al., 2019).本研究は,地震波干渉法や地震励起波形データを用いたアレイ計測(トモグラフィーを含む)によるオントンジャワ海台浅部構造の解明を目指している.
今回はまず予備的解析として,BBOBS鉛直成分で計測された雑微動を用いた相互相関関数解析(Shapiro et al., 2004)をおこなった.2観測点間の相互相関関数はBensen et al. (2007)の手法にしたがって求めた.まず,機器特性を補正した1日長時系列を50%オーバーラップで2000秒長セクションに分割し,地震イベント由来のシグナルや電気ノイズを含むセクションを除外した.残った各セクションに対してフーリエ変換を施し,スペクトルホワイトニングをしたのち,2観測点間のクロス・スペクトルを求めた.そして,これらを用いて観測期間中の平均クロス・スペクトルを求め,逆フーリエ変換することで相互相関関数を取得した.さらに,Harmon et al. (2007)の手法を用いて群速度の計測をおこなった.
得られた相互相関関数では,10―50 秒の帯域で,観測点間距離2500 km程度まで,レイリー波の基本モードを観測することができた.また,1月, 9月, 10月以外の各月の平均クロス・スペクトルでは周期約25秒に鋭いピークが観測された.類似した現象はShapiro et al. (2006)で報告されており,本研究では群速度計測への影響を回避するために,1月, 9月, 10月のデータのみを用いて群速度を計測した.その結果,たとえば周期20秒では,オントンジャワ海台中央部では低速異常,オントンジャワ海台の周囲(北部および西部)では高速異常が観測された.この結果はオントンジャワ海台とその周辺の地殻厚さの不均質性を反映したものであると考えられる(Tonegawa et al., 2019).今後は傾斜ノイズやコンプライアンス・ノイズ低減(Crawford and Webb, 2000,川野修士論文)をおこなったデータの解析や,群速度計測精度の向上,位相速度の計測,1次元構造解析,3次元構造解析および周期約25秒で観測されたノイズの起源について検討する.
今回はまず予備的解析として,BBOBS鉛直成分で計測された雑微動を用いた相互相関関数解析(Shapiro et al., 2004)をおこなった.2観測点間の相互相関関数はBensen et al. (2007)の手法にしたがって求めた.まず,機器特性を補正した1日長時系列を50%オーバーラップで2000秒長セクションに分割し,地震イベント由来のシグナルや電気ノイズを含むセクションを除外した.残った各セクションに対してフーリエ変換を施し,スペクトルホワイトニングをしたのち,2観測点間のクロス・スペクトルを求めた.そして,これらを用いて観測期間中の平均クロス・スペクトルを求め,逆フーリエ変換することで相互相関関数を取得した.さらに,Harmon et al. (2007)の手法を用いて群速度の計測をおこなった.
得られた相互相関関数では,10―50 秒の帯域で,観測点間距離2500 km程度まで,レイリー波の基本モードを観測することができた.また,1月, 9月, 10月以外の各月の平均クロス・スペクトルでは周期約25秒に鋭いピークが観測された.類似した現象はShapiro et al. (2006)で報告されており,本研究では群速度計測への影響を回避するために,1月, 9月, 10月のデータのみを用いて群速度を計測した.その結果,たとえば周期20秒では,オントンジャワ海台中央部では低速異常,オントンジャワ海台の周囲(北部および西部)では高速異常が観測された.この結果はオントンジャワ海台とその周辺の地殻厚さの不均質性を反映したものであると考えられる(Tonegawa et al., 2019).今後は傾斜ノイズやコンプライアンス・ノイズ低減(Crawford and Webb, 2000,川野修士論文)をおこなったデータの解析や,群速度計測精度の向上,位相速度の計測,1次元構造解析,3次元構造解析および周期約25秒で観測されたノイズの起源について検討する.