日本地震学会2019年度秋季大会

講演情報

C会場

特別セッション » S22. 地震学における機械学習の可能性

[S22]PM-1

2019年9月18日(水) 14:30 〜 16:00 C会場 (総合研究8号館NSホール)

座長:小寺 祐貴(気象庁気象研究所)、内出 崇彦(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)

15:30 〜 15:45

[S22-14] 隆起海岸段丘地形のDEMクラスタリングによる自動検出と分類

*小森 純希1、安藤 亮輔1、宍倉 正展2 (1. 東京大学、2. 産業技術総合研究所)

標高数値モデル(DEM)を使用した新たな海岸段丘の解析手法を開発し、房総半島に分布する完新世海岸段丘である沼段丘に適用した。沼段丘は過去7000年間に相模トラフ沿いで発生したプレート間地震(関東地震)による隆起で形成されたと考えられており、災害発生予測の観点からも調査が重要視されている地形である。しかし近年実施された年代測定調査などから、関東地震について従来の固有地震的な解釈に疑問が呈されてきたため、その形成履歴に関して再評価が求められていた。本研究では、従来の測量や航空写真判読に代わり、より定量的な手法としてDEMを用いた段丘区分を提案した。この手法では、旧汀線アングルを指示する崖基部の地形を抽出した点群データに対し、クラスタリングを使用して年代ごとの標高分布を取得する。解析の結果、房総半島南端部の海岸線沿い約30kmの長さにわたり、連続的に4段の旧汀線アングルの標高分布を得ることができた。今回得られた沼段丘のそれぞれの比高は互いによく一致した分布を示しており、同様な地殻変動を経験したことが示唆される。しかし年代測定から推定された発生間隔が互いに大きく異なっていることを考慮すると、プレート間のすべりの繰返しモデルでは段丘形成の説明が困難である。これらの地質データを総合して、プレート内断層の寄与も含めた地殻変動履歴モデルを構築することが今後求められる。