日本地震学会2022年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(2日目)

一般セッション » S15. 強震動・地震災害

[S15P] AM-P

2022年10月25日(火) 09:30 〜 12:00 P-2会場 (10階(1010〜1070会議室))

09:30 〜 12:00

[S15P-04] 階層パッチ構造を持つ震源モデルにおける地震発生層の影響

*後藤 浩之1 (1. 京都大学)

地震断層の破壊プロセスや生成される地震動について論じるとき,地表(自由表面)の存在を力学的条件として考慮することは重要である(Somerville, 2003; Pitarka et al., 2009; Wada and Goto, 2012; Yin and Denolle, 2021).例えば,2016年熊本地震の本震で観測された断層近傍の特徴的な強震波形は,破壊プロセスと地表との相互作用により説明することができる(Kaneko and Goto, 2022).一方,地表の影響を論じる場合には地震発生層の存在,すなわち地震発生層以浅や以深における応力降下量分布などの影響も無視することはできない.これまで階層パッチ構造を持つ震源モデルによる地表の影響について論じてきたが(後藤,JPGU,2022),本研究では,地震発生層を考慮してその影響について論じる.

地表等の影響が少ない理想的な地震(Ideal Quake)を基に,動力学震源モデルの力学的条件として地表および地震発生層を加えて影響を考察する.本研究におけるIdeal Quakeには,従来と同様に階層パッチ構造を持つ震源モデル(Ide and Aochi, 2005; Ide 2014)を採用する.地震に関するスケーリング(GR則,M-τ関係,オメガスクエア)が再現されるようパラメータを調整した上で,鉛直横ずれ断層型の多数の震源モデルを生成して特徴を論じた.最大すべり点と地表とですべり速度関数の形状が異なることや,断層長さに関するスケーリングとの対応等,いくつかの特徴を自然に説明できることが示される.一方,すべり速度のライズタイムが地表付近で伸びる現象は認められにくい傾向にある.Kaneko and Goto (2022)によって指摘されたように,速度構造の影響を考慮することが重要である可能性がある.

参考文献
Kaneko and Goto (2022) The origin of large, long-period near-fault ground velocities during surface-breaking strike-slip earthquakes. GRL. doi:10.1029/2022GL098029
後藤浩之(2022) 階層パッチ構造を持つ震源モデルにより生成される地表断層地震の特性,JPGU2022,SSS10-04