日本地震学会2023年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(1日目)

一般セッション » S03. 地殻変動・GNSS・重力

[S03P] PM-P

2023年10月31日(火) 17:00 〜 18:30 P5会場 (F201・3側フォワイエ) (アネックスホール)

[S03P-01] 新潟-神戸歪集中帯における歪場の時空間変化 -GNSSを用いた長期的解析-

*河端 浩希1、吉岡 祥一2,1 (1. 神戸大学大学院理学研究科惑星学専攻、2. 神戸大学都市安全研究センター)

1.はじめに
 日本列島は、プレート運動による地殻変動が活発な地域であり、日本列島の広域では、太平洋プレートやフィリピン海プレートの沈み込みとプレート境界の固着を主な原因として、定常的な面積歪の収縮が続いている。Sagiya et al. (2000)は、国土地理院によるGNSS(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)による日々の座標値を用いて、日本列島における1997年~1999年の変位場・歪場を求め、NKTZ(Niigata Kobe Tectonic Zone / 新潟-神戸歪集中帯)の存在を提唱した。 今日、GNSS時系列データは25年以上継続して得られており、より長期的な解析が可能となっている。そこで本研究では、過去26年間のGNSS時系列データを用いて、NKTZの長期的な変位場・歪場の時空間変化を明らかにすることを目的とした。

2.手法
 GNSS時系列データの解析により、NKTZを含む日本列島中部の定常的な変位場を求め、1997年から2022年の終わりまでの26年間の1年ごとに蓄積された歪(主歪・面積歪・最大剪断歪)を計算した。 解析には、国土地理院のGEONET(GNSS Earth Observation NETwork System / GNSS連続観測システム)の日々の座標値(F5解)の水平成分を使用した。GNSS時系列データには、共通誤差成分、アンテナ交換によるステップ、地震時ステップ、年周・半年周変動、大地震に伴う余効変動が含まれており、これらの成分をGNSS時系列データから取り除くことで、定常的な地殻変動を抽出した。本研究では、大地震に伴う余効変動として、新潟県中越地震(2004年10月23日, Mw:6.5)、新潟県中越沖地震(2007年7月16日, Mw:6.7)、東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日, Mw:9.0)の3つの余効変動を除去した。このようにして変位場を求めたのち、Shen et al. (1996)の手法を用いて歪場を計算した。

3.結果
 面積歪・最大剪断歪ともに、NKTZの北部(新潟県~北陸地方)において、歪の大きい値が定常的に確認され、NKTZの南部(近畿地方)では、北部に比べ、特徴的な歪の値は確認できなかった。主歪に関しては、NKTZ全体で西北西-東南東方向の圧縮が卓越しており、その大きさはNKTZ以外の領域よりも大きい傾向がみられた。  また、面積歪と最大剪断歪に関して、NKTZ領域における1年ごとの歪場の差分を取り、その残差のRMSを求めた。その結果、面積歪の方が最大剪断歪に比べRMSの値が大きい傾向にあり、北緯37°付近において、特にRMSが大きくなる傾向がみられた。