13:30 〜 13:45
[S08-11] ゆっくり・高速地震遷移条件の解析的取り扱いとその妥当性
バネ・ブロックモデルと熱・流体・空隙相互作用によって生じるゆっくり・高速地震の遷移条件を解析的に取り扱う。ゆっくり地震と高速地震の違いは、それぞれブロックのエネルギーバランスを表す方程式の解が3つまたは1つの正の実数解を持つ場合に対応することを既に報告している。ここではある近似の下で解の個数の条件を解析的に求め、また数値計算も同時に行いその近似の有効性や妥当性を議論する。
ブロックの滑り前後のエネルギー変化を表す関数をF(uf)とする。ここでufは一回の地震の滑り量である。Fは滑り前後のバネに蓄えられたエネルギーの差から動摩擦力がした仕事を引いたものであり、F(uf)=0がエネルギー保存を示すため、この解が実際の地震の滑り量として実現されることになる。F=0が複数の正の実数解を持つ場合は、最小の解が実現される。ここではF=0が3つの正の実数解を持つ場合を考える。F(0)=0(滑らなければエネルギー変化もない)であり、かつdF(uf)/duf |_{uf=0}<0という条件も存在することに注意する。するとこの時はdF(uf)/duf=0が3つの正の実数解を持っており、その解をu1<u2<u3とすればF(u1)<0, F(u2)>0かつF(u3)<0である。
続いてF=0の正の実数解が縮退する場合を考える。境界条件からF(u1)<0は常に成り立つ。これに加えてF(u3)<0のままであるとすると、F=0の正の実数解はF(u2)=0になった時に2つになり、F(u2)<0になった時に1つになる。またこの時実現される解もそれまでの最小のもの(ゆっくり地震に対応)から最大のもの(高速地震に対応)へと不連続に大きくジャンプする。すなわちF(u2)=0となる条件を解析的に書ければ、両地震への遷移条件が理解できるということになる。
ここで、dF/duf=0の式とF(u2)=0の式にu2>>1とすると、u2の二次方程式が得られる。これが正の実数解を持つ条件、すなわち判別式>0が、相転移の解析的表現である。Fには滑り開始時の流体圧や空隙率がパラメータとして含まれるが、それらが作る相空間中で両地震の振る舞いの境界を示せるとも言える。そして数値計算の結果、実際に多くのケースで先の近似は有効であることが確かめられた。地震滑りの振る舞いの予測に重要な役割を果たす解析的表現が得られたと言える。
ブロックの滑り前後のエネルギー変化を表す関数をF(uf)とする。ここでufは一回の地震の滑り量である。Fは滑り前後のバネに蓄えられたエネルギーの差から動摩擦力がした仕事を引いたものであり、F(uf)=0がエネルギー保存を示すため、この解が実際の地震の滑り量として実現されることになる。F=0が複数の正の実数解を持つ場合は、最小の解が実現される。ここではF=0が3つの正の実数解を持つ場合を考える。F(0)=0(滑らなければエネルギー変化もない)であり、かつdF(uf)/duf |_{uf=0}<0という条件も存在することに注意する。するとこの時はdF(uf)/duf=0が3つの正の実数解を持っており、その解をu1<u2<u3とすればF(u1)<0, F(u2)>0かつF(u3)<0である。
続いてF=0の正の実数解が縮退する場合を考える。境界条件からF(u1)<0は常に成り立つ。これに加えてF(u3)<0のままであるとすると、F=0の正の実数解はF(u2)=0になった時に2つになり、F(u2)<0になった時に1つになる。またこの時実現される解もそれまでの最小のもの(ゆっくり地震に対応)から最大のもの(高速地震に対応)へと不連続に大きくジャンプする。すなわちF(u2)=0となる条件を解析的に書ければ、両地震への遷移条件が理解できるということになる。
ここで、dF/duf=0の式とF(u2)=0の式にu2>>1とすると、u2の二次方程式が得られる。これが正の実数解を持つ条件、すなわち判別式>0が、相転移の解析的表現である。Fには滑り開始時の流体圧や空隙率がパラメータとして含まれるが、それらが作る相空間中で両地震の振る舞いの境界を示せるとも言える。そして数値計算の結果、実際に多くのケースで先の近似は有効であることが確かめられた。地震滑りの振る舞いの予測に重要な役割を果たす解析的表現が得られたと言える。