[S15P-03] 観測できていない強烈な衝撃的鉛直地震波動について - その10 -
- 無知と無関心が人を殺し、国を滅ぼす (3/3) -
1.はじめに
共通の主題に用いている衝撃的鉛直地震波の問題が長年残されてきた背景には,自然科学分野だけでなく社会科学分野の原因があります.本文の共通副題の下で,問題の波が高周波,局在波及び威力波の特性を持つため,今年の先行する2回の発表では,自然科学分野から観測できていないことを述べました.また併せて,危険な地殻変動の兆候に昨年気付き,原発の安全対策が必要なことも指摘しました.本文では分かり易い事例の海震の話題を少し補足した後で,社会科学分野の原因について紙面の都合上一つの核心を述べ,地震と火山活動の頻発傾向に鑑みて,地震鉛直衝撃波に対する原発の安全性の確認が必要なことを改めて強調します.
2.海震及び地震鉛直衝撃波の存在性と復権(3)
海震については船舶工学者から「海震で船舶が損壊する時の地震波は,粗密波であることは常識である」と指摘されています.図1は兵庫県南部地震の時の明石海峡付近のフェリーの位置図で,図中のあさぎり丸とクイーンダイヤモンド号は海震を2度受け,両者とも2度目の方が強く,両船長の証言と海の表面波の波源域の解析資料から,2度目は約3分後に受けたと判断でき,その時刻は本震が収束した後と判明しました.同時に本震より強い余震は無く,強い海震の発生機構は,マグマの活動もないので,物質の相変化と確定できます.
図2は近代的な船のタンカーの損壊事例で,海震は鉄鋼船でも損壊さす威力を持つことを表します.図3は一般向けの本「あしたの地震学」(神沼克伊著,青土社,2020.3)の図です.強い突き上げ力の作用を表す例で,鉛直衝撃波の存在を連想させます.図4はトルコの地震(M7.7,2023.2.6)での最大観測加速度の記録波形です.その上下動の波形が非対称であることに対して,観測点固有の影響があるとの疑念を示しています.図5はその地震で,7階建のビルが崩落する状況の3枚の写真です.このビルの崩落時には地震の揺れは収まっており,前述の海震の例から,この崩壊は強い突き上げ力の作用と考えると整合します.問題は海震の常識が陸の地震工学者に共有されなかった社会科学的原因にあります。その問題の遠因については後程触れます.
3.危険な地殻変動の兆候
図6,7,9は日本列島の地殻変動図と福島県沿岸部の地盤の弱点を表す図で昨年用いた図です.図8は今年7月時点での,10年間の東日本の地殻変動図に原発の位置を記入したもので,変動形態は昨年と同じです.東日本太平洋沖地震を境に,日本の北東部の地殻変動の形態は一変しました.その変動形態はその地震後の1年間の変動形態の図7とも著しく違います.昨年ではこの地殻変動は巨大地震の余効変動と解釈していましたが,図6cの変動形態と似た変動形態が,本震の前から生じていたことから,この変動は地殻変動そのものが継続して生じていると考えました.図8に示す原発は勿論他の原発も,地震の頻発傾向に鑑み,この地殻変動の影響があるものは,早急に地震鉛直衝撃波に対する安全性を確認する必要があります.
4.消された調査研究会
図10は「材料・構造物の衝撃的破壊現象とその防止に関する調査」の研究会(全委員22名、3班構成の内12名で本委員会を構成)の報告書の表紙です.この会は阪神淡路大震災の直後に任意に構成されたが,活動は1年弱で頓挫・抑圧・抹殺され,報告書を辛うじて平成8年度の成果として残しました.その抑圧・抹殺には「3. 11大津波の対策を邪魔した男たち」(島崎邦彦著,青志社,2023.3)の「原子力ムラ」の図とは別の 部隊が暗躍した訳です.地震鉛直衝撃波と原発に関しては,無知と無関心が人を殺し,国を滅ぼす虞があります.
共通の主題に用いている衝撃的鉛直地震波の問題が長年残されてきた背景には,自然科学分野だけでなく社会科学分野の原因があります.本文の共通副題の下で,問題の波が高周波,局在波及び威力波の特性を持つため,今年の先行する2回の発表では,自然科学分野から観測できていないことを述べました.また併せて,危険な地殻変動の兆候に昨年気付き,原発の安全対策が必要なことも指摘しました.本文では分かり易い事例の海震の話題を少し補足した後で,社会科学分野の原因について紙面の都合上一つの核心を述べ,地震と火山活動の頻発傾向に鑑みて,地震鉛直衝撃波に対する原発の安全性の確認が必要なことを改めて強調します.
2.海震及び地震鉛直衝撃波の存在性と復権(3)
海震については船舶工学者から「海震で船舶が損壊する時の地震波は,粗密波であることは常識である」と指摘されています.図1は兵庫県南部地震の時の明石海峡付近のフェリーの位置図で,図中のあさぎり丸とクイーンダイヤモンド号は海震を2度受け,両者とも2度目の方が強く,両船長の証言と海の表面波の波源域の解析資料から,2度目は約3分後に受けたと判断でき,その時刻は本震が収束した後と判明しました.同時に本震より強い余震は無く,強い海震の発生機構は,マグマの活動もないので,物質の相変化と確定できます.
図2は近代的な船のタンカーの損壊事例で,海震は鉄鋼船でも損壊さす威力を持つことを表します.図3は一般向けの本「あしたの地震学」(神沼克伊著,青土社,2020.3)の図です.強い突き上げ力の作用を表す例で,鉛直衝撃波の存在を連想させます.図4はトルコの地震(M7.7,2023.2.6)での最大観測加速度の記録波形です.その上下動の波形が非対称であることに対して,観測点固有の影響があるとの疑念を示しています.図5はその地震で,7階建のビルが崩落する状況の3枚の写真です.このビルの崩落時には地震の揺れは収まっており,前述の海震の例から,この崩壊は強い突き上げ力の作用と考えると整合します.問題は海震の常識が陸の地震工学者に共有されなかった社会科学的原因にあります。その問題の遠因については後程触れます.
3.危険な地殻変動の兆候
図6,7,9は日本列島の地殻変動図と福島県沿岸部の地盤の弱点を表す図で昨年用いた図です.図8は今年7月時点での,10年間の東日本の地殻変動図に原発の位置を記入したもので,変動形態は昨年と同じです.東日本太平洋沖地震を境に,日本の北東部の地殻変動の形態は一変しました.その変動形態はその地震後の1年間の変動形態の図7とも著しく違います.昨年ではこの地殻変動は巨大地震の余効変動と解釈していましたが,図6cの変動形態と似た変動形態が,本震の前から生じていたことから,この変動は地殻変動そのものが継続して生じていると考えました.図8に示す原発は勿論他の原発も,地震の頻発傾向に鑑み,この地殻変動の影響があるものは,早急に地震鉛直衝撃波に対する安全性を確認する必要があります.
4.消された調査研究会
図10は「材料・構造物の衝撃的破壊現象とその防止に関する調査」の研究会(全委員22名、3班構成の内12名で本委員会を構成)の報告書の表紙です.この会は阪神淡路大震災の直後に任意に構成されたが,活動は1年弱で頓挫・抑圧・抹殺され,報告書を辛うじて平成8年度の成果として残しました.その抑圧・抹殺には「3. 11大津波の対策を邪魔した男たち」(島崎邦彦著,青志社,2023.3)の「原子力ムラ」の図とは別の 部隊が暗躍した訳です.地震鉛直衝撃波と原発に関しては,無知と無関心が人を殺し,国を滅ぼす虞があります.