14:30 〜 14:45
[S22-14] 2023年能登地方を震源とする地震による木造建築の地震被害調査
その3 寺院建築物の構造詳細調査に基づく被害および耐震性能
2023年5月5日に石川県能登半島沖を震源として発生した地震において、被害が顕著であった珠洲市正院地区を中心に建築物の被害調査を実施した。その1、その2に引き続き、本報では寺院建築を対象に実施した構造詳細調査に基づいた被害状況を報告する。
調査期間は5月25日、5月31日~6月2日,6月16日,6月19日の6日間とし、調査は日本建築学会北陸支部災害部会で実施した。調査メンバーは金沢工業大学と金沢大学を中心に総計23人で構成した。調査方法は、対象地域の木造建物の被害および構造性能を把握するための構造詳細調査とし、正院町3件、三崎町1件、飯田町1件、宝立町1件の計6件の寺院本堂を対象とした。構造詳細調査では、建物内外部の被害部位・被害内容の把握、柱の残留変形の記録(2件のみ実施)、構造性能を把握するための実測調査等を行った。また、すでに修理を開始している物件もあったため、建物所有者より地震直後の被害の様子などをヒアリングした。
被害調査の結果、倒壊・大破に至る甚大な被害は少なかったが、壁の崩落・剥離、柱脚のずれなどが多くみられた。また残留変形も大きく、柱の残留変形を計測した寺院では1/30 rad.を超える変形も確認された。実測調査の結果より概算した耐震性能では、ベースシア係数0.2以下のケースもあり、倒壊は免れたものの耐震性能が不足している事例が確認された1),2)。
謝辞 本調査にあたり、建物所有者の皆さまには被災直後にも関わらずご協力いただき感謝申し上げます。関西大学西川英佑先生、東京大学藤田研究室OB西濱惇矢氏、中島裕貴氏、公益財団法人文化財建造物保存技術協会津和佑子氏、金沢大学北川裕喬氏、金沢工業大学荒川拓磨氏、澤田悠斗氏、金沢工業大学佐藤研究室学生諸氏には調査にご協力いただきました。ここに謝意を示します。
参考文献
1) 伝統構法を生かす木造耐震設計マニュアル 限界耐力計算による耐震設計・耐震補強設計法、木造軸組構法建物の耐震設計マニュアル編集委員会、2004年
2) 伝統的構法のための木造耐震設計法 石場建てを含む木造建築物の耐震設計・耐震補強マニュアル、伝統的構法木造建築物設計マニュアル編集委員会、2019年
調査期間は5月25日、5月31日~6月2日,6月16日,6月19日の6日間とし、調査は日本建築学会北陸支部災害部会で実施した。調査メンバーは金沢工業大学と金沢大学を中心に総計23人で構成した。調査方法は、対象地域の木造建物の被害および構造性能を把握するための構造詳細調査とし、正院町3件、三崎町1件、飯田町1件、宝立町1件の計6件の寺院本堂を対象とした。構造詳細調査では、建物内外部の被害部位・被害内容の把握、柱の残留変形の記録(2件のみ実施)、構造性能を把握するための実測調査等を行った。また、すでに修理を開始している物件もあったため、建物所有者より地震直後の被害の様子などをヒアリングした。
被害調査の結果、倒壊・大破に至る甚大な被害は少なかったが、壁の崩落・剥離、柱脚のずれなどが多くみられた。また残留変形も大きく、柱の残留変形を計測した寺院では1/30 rad.を超える変形も確認された。実測調査の結果より概算した耐震性能では、ベースシア係数0.2以下のケースもあり、倒壊は免れたものの耐震性能が不足している事例が確認された1),2)。
謝辞 本調査にあたり、建物所有者の皆さまには被災直後にも関わらずご協力いただき感謝申し上げます。関西大学西川英佑先生、東京大学藤田研究室OB西濱惇矢氏、中島裕貴氏、公益財団法人文化財建造物保存技術協会津和佑子氏、金沢大学北川裕喬氏、金沢工業大学荒川拓磨氏、澤田悠斗氏、金沢工業大学佐藤研究室学生諸氏には調査にご協力いただきました。ここに謝意を示します。
参考文献
1) 伝統構法を生かす木造耐震設計マニュアル 限界耐力計算による耐震設計・耐震補強設計法、木造軸組構法建物の耐震設計マニュアル編集委員会、2004年
2) 伝統的構法のための木造耐震設計法 石場建てを含む木造建築物の耐震設計・耐震補強マニュアル、伝統的構法木造建築物設計マニュアル編集委員会、2019年