一般社団法人 日本医療情報学会

[3-B-3-01] 看護管理指標の活用と部署面談による病院経営に対する貢献

*村岡 修子1 (1. NTT東日本関東病院)

hospital management, quality improvement, nursing management indicators

生産性の向上やタスク・シフティングの推進には、「トップダウンによる意識改革」と「ボトムアップによる改善活動」が重要となる。前者は、経営層から現場スタッフに対する働きかけで、コミュニケーションが鍵になる。一方、後者は、PDCAサイクルを回すなどの改善活動で、現場スタッフのモチベーションの向上が鍵と考える。これらの活動を支える方法として、NTT東日本関東病院看護部では、看護管理指標の設定と部署面談が行われている。
 看護管理指標は、医療の質と経営の質を考慮した33項目で構成される。内訳はアウトカム6項目、ストラクチャー15項目、プロセス12項目になっており、カテゴリー分類はドナベディアン・モデルが活用されている。データ抽出と資料作成は看護部医療情報管理部門が担当し、作成した資料は看護長会議に提示される。看護長は、提示された資料を用いて、管轄部署の数値の推移や他部署とデータを比較し、課題の抽出と目標値を定めることができる。また、部署のスタッフは、改善活動の結果を数値で確認できるため、モチベーションの向上につながると考えられる。
 部署面談は、看護長、看護主任、看護部長、事務長、病院長が同席し、年2回実施される。面談では、部署の課題や改善活動、到達目標や成果を共有する。看護管理指標が到達目標や成果になる場合は、資料に掲載された数値を示し、他の指標との関係性や目標を達成するための要望を看護長から経営層に対して説明が出来る。一方、経営層は、要望の妥当性について数値を確認しながら返答したり、経営層から部署へ要望を提示したりすることが出来る。したがって、面談は看護長と看護主任の意識改革の場につながっていると考えられる。
  以上のことから、看護管理指標と部署面談は、経営層と現場スタッフとの情報共有を可能にし、「トップダウンによる意識改革」と「ボトムアップによる改善活動」を支え、看護部門として病院経営に貢献できる方法であると考える。